国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




■はじめに
 早いもので、平成22年12月10日に受け取る期末手当と勤勉手当が、勤め始めてから丁度10回目のものになります。10回も受け取った割には銀行通帳の額が妙に寒々しいのですが、それはともかく、今回は10回目とキリが良いのを記念して、「過去に受け取った10回分の期末・勤勉手当のデータ」「期末手当と勤勉手当の簡単な算定方法」「平成18年から平成22年までの期末手当と勤勉手当の支給月数等の時間軸上の経緯」をまとめてみました。
 ちなみに、このエントリーの公開時(平成22年12月5日)にはまだ10回目の期末手当と勤勉手当は支給されていないのですが、給与係の人にお願いしたら支給予定の給与明細を教えてくれました。そんな訳で、今回のエントリーは某国立大学に勤める電車マニアのTさんの提供でお送りいたします。

■過去10回分の支給額データ



 注意書きにもあるとおり、最初の平成18年6月は、4月に勤め始めてから間もないため、実際の支給額は期間率30%のものとなっています。これを100%に直したものが青字の数字です。
 数字を見て分かるとおり、基本的には12月は6月より多く支給されます。しかし、人事院勧告や成績率の変動により、場合によっては12月の支給額が6月を下回る場合もあります。自分の場合は特に今回の平成22年12月がそれにあたり、これは平成22年の人事院勧告に基づく期末手当・勤勉手当の両方の支給月数の減少が影響しています。恐らく自分以外にも今回の12月の支給額が6月を下回った方は多いことでしょう。
 また、必ずしも今年度の金額が前年度の金額を上回るとも限りません。自分の場合、基本給は常に前年より上がっているにも関わらず、もっとも手当額が多かったのは平成20年のものです。これもやはり勤勉手当の成績率などが影響していますが、それ以上に、特に過去5年間においては人事院勧告による支給月数の減少が強い影響を与えています(詳しくは後述)。
 知らない人のために、この「支給月数」についての説明ですが、これは人事院が毎年8月に出している公務員の給与に関する勧告(実際は命令みたいなもの)の中で必ず言及されるもので、その年の期末手当と勤勉手当を、手当を受ける職員の基本給の何ヶ月分とするか、と定められるものです。早い話が、公務員にとっての人事院は、「最近いろいろと物入りだからあんたのお小遣い減らすわよ」と旦那に詰め寄るおかーちゃんみたいなもんです。人事院勧告は例年8月に行われ、既に6月の期末手当と勤勉手当は支給されているため、多くの場合は12月の期末・勤勉手当を調整することで勧告を実際の支給に反映させます。12月の支給額が6月よりも低くなるような場合には、特にこういう事情がある訳です。
 せっかく支給月数に触れたので、具体的なその数字をご覧ください。



 一見して分かるとおり、公務員(及び国立大学事務職員)の期末・勤勉手当は過去3年くらいは減少傾向にあります。歴史的な経緯に触れれば、今年の支給月数の「3.95月」がいかに凄まじく低い数字なのかが分かるのですが、今回は自分の採用以前のデータはまとめていないので、詳しくは割愛します。


■期末手当と勤勉手当の算定方法
 算定方法については「このエントリー」でも簡単に触れていますが、内容が古いのと、いまいち分かりにくい内容だったので、今回ついでに作り直しました。まずは下記をご覧ください。





 まず注意ですが、上記の算定方法はあくまで簡易なものです。というのも、本当は「役職加算」という処理が必要になる場合があるからです。しかし、自分みたいなヒラの事務職員にはあまり関係が無いし、またそれを入れると分かりにくくなるため、今回は分かりやすさ重視で上のとおりにまとめています。
 期末手当も勤勉手当も、骨子となる部分は大して違いはありません。基礎額に各割合を掛けて、欠勤や休職がある人はその分を差し引くだけです。細かく見ると、「基礎額」の中の「扶養手当」の有無、また期間率の設定などが違っているのが分かります。これらはそれぞれの手当の性質を配慮した上で違っているようです。
 さて、上記算定方法の標記に「平成22年12月10日時点」と書き入れました。なんでこれを書き入れたかと言うと、上記の数字は先に書いたように、「人事院勧告」の「支給月数」の変動に応じて頻繁に変化するからなのです。このことについて詳しくまとめたものが次項のものです。


■期末手当の「支給割合」の変動
 まず期末手当について説明します。
 期末手当の算定方法は上に記したとおりですが、その中の「支給割合」について補足です。この「支給割合」というのは、公務員であれば「一般職の職員の給与に関する法律(通称「給与法」)」の第19条に「直接」定められています(ちなみに国立大学であれば、各大学の給与に関する就業規則に、やはり「直接」定められています)。そのため、「人事院勧告」を受けてこの部分を変更するには「法律の変更」の手続きが必要となり、具体的には「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(リンク先に最近のものがいくつか掲載されています)」という法律を一々成立させる手順を踏みます。それらを踏まえて次の図をご覧ください。



 これは自分が採用されてからの5年間における期末手当の「支給割合」の変動と、その要因となったものを抜粋したものです。表中の「平成○○年法律第○○号」は「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律」のことです。見て分かるとおり、これは同じ名称で頻繁に、それも期末手当以外のことでも作成されるため、ここでは個別認識をするために「法律番号」を使用しています。
 基本的には「人事院勧告」を受けて「法律」を可決し施行する、というパターンです。日付などを見ると手当支給のかなりギリギリに施行されているのが分かります。今回の平成22年12月の期末手当なんかも、わずか10日前に施行されたばかりの法律に基づいている訳です。


■勤勉手当の「成績率」の変動
 次に勤勉手当についてです。
 勤勉手当が期末手当と違うところは大きく分けて二点。一つは、勤勉手当の「成績率」は期末手当と違い、「法律」ではなく「人事院規則」により定められている点です。もう一つは、「支給割合」の操作により直接的に人事院勧告が定めた「支給月数」を反映させることができた期末手当と違い、勤勉手当においては「成績率」等の操作によって「支給月数」を調整しなければならない点です。
 最初の点は難しくないでしょう。「人事院規則」は聞きなれない人もいるかもしれませんが、「法律」ではない「人事院が出す定め(正確には「命令」)」くらいに理解してください。特に「期末手当」と「勤勉手当」は、人事院規則9-40に定められており、この内容を変更する時には人事院規則9-40-36のように「枝番号」が付されます。この「枝番号」をたどれば、人事院規則がいつ・どのように変わったのかが分かるわけです(古い枝番号は「法庫」などで探すことができますが、有料になってしまうため個人が調べるのには限度があります。平成19年の枝番号が「?」となっているのはそんな事情によります。「これくらい人事院というか政府が責任持って無償で公開しておけよ」と思わざるを得ない…)。
 次の点が少しややこしいかも知れませんが、図を見れば大体理解できるでしょう。期末手当と違い、勤勉手当は各職員の「成績率」に応じての額の変動が大きい手当です。そのため、人事院勧告の「支給月数」もこの成績率の操作によって間接的に反映させる必要があります。下の図では、左の表に「支給月数」、右の部分に「成績率」の表を載せてあります。ざっと見ると「支給月数」の変動に応じて「成績率」が同じように変動しているのが分かるかと思います。




■終わりに
 以上、10回目の期末手当と勤勉手当ということで、現時点で分かっていることをまとめてみました。
 データを集めていて思ったのですが、期末手当と勤勉手当に関する法律や人事院規則は思ってた以上にマイナーなものが多く、自分が採用されたわずか5年間の間ですら手に入れられないものがありました。今後は支給される度に必要なデータをまめに保存しておくこととし、またできる既存の情報のアップデータに努めようと思います。


※過去の期末手当・勤勉手当のエントリー
 ・期末・勤勉手当額まとめ ~気がつけば4年目~
 ・期末・勤勉手当は2009年6月にどれくらい下がったのか
 ・期末・勤勉手当について


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