国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




※このエントリーは「国立大学事務職員の基本給は昇給で「何円」増加するのか」における昇給の具体的シミュレーションの一つです。記事を読む場合、下記の順に読み進めることをお勧めします。

国立大学事務職員の基本給は昇給で「何円」増加するのか
続・国立大学事務職員の基本給は昇給で「何円」増加するのか
1.最低限の昇給パターン
2.出世下位グループの昇給パターン
3.出世中位グループの昇給パターン
・4.出世上位グループの昇給パターン


4.国立大学事務職員の出世上位グループの昇給パターン
年齢級・号数給与月額増加金額備考
231級28号177,3005,100 
241級32号184,2006,900 
251級36号190,3006,100 
261級40号195,5005,200 
271級44号200,8005,300 
282級20号220,30019,500特別昇給(8号)・昇格
292級24号227,7007,400 
302級28号234,9007,200 
312級32号241,0006,100 
322級36号247,1006,100 
332級40号253,2006,100 
342級48号264,30011,100特別昇給(8号)
352級52号269,5005,200 
363級40号296,00026,500昇格
373級44号303,0007,000 
383級48号309,8006,800 
393級52号316,1006,300 
403級60号327,70011,600特別昇給(8号)
413級64号331,8004,100 
423級68号335,1003,300 
433級72号338,1003,000 
443級76号340,4002,300 
453級80号342,3001,900 
463級88号346,3004,000特別昇給(8号)
474級57号368,10021,800昇格
484級61号370,8002,700 
494級65号373,4002,600 
504級69号376,0002,600 
514級73号378,6002,600 
525級73号395,90017,300特別昇給(8号)・昇格
535級77号398,5002,600 
545級81号401,1002,600 
555級83号402,5001,400これより先「55歳以上」に該当
566級65号418,10015,600昇格
576級67号419,5001,400 
586級71号422,1002,600特別昇給(4号)
596級73号423,3001,200 
606級75号424,7001,400 

【データについて】
・4年制大学を卒業後22歳で国立大学に就職したものと仮定
・初任給は1級25号
・昇給区分は特別昇給を除いて常にC区分で昇給
・昇級の時期に関しては「国立大学事務職員は何歳で「昇級」するのか」を参照
・特別昇給の回数については過去の実績から仮定したが、特別昇給に関し、中間層においては職員の5%が8号昇給し、20%が6号昇給することから、これらの昇給が全職員に均等に割り振られたとすると20年に1回の割合で8号昇給し、5年に1回の割合で6号昇給するため、40年の勤続年数では「常に4号昇給した場合」に比べて「(4号×2回)+(2号×8回)」で合計24号分だけ特別昇給することになる。6年に1回の割合で8号昇給すると仮定すると55歳以上における昇給数の抑制を考慮しても合計22号分だけ特別昇給することになるため、6年に1回の割合で8号昇給の仮定はそこまで的外れではないと思われる。
・給与表については給与法の「行政職俸給表(一)」(平成21年12月1日時点)を参照
・昇級時における新しい号数については「人事院規則九-八 別表第七 昇格時号俸対応表」の「行政職俸給表(一)昇格時号俸対応表」(平成21年12月1日時点)を参照
・また、あらゆるデータは平成21年度の制度の下において行った仮定であるため、過去に上記の表と同様に昇級した職員がこのとおりとなる(あるいはなっている)とは限らない
・昇級抑制期間(平成18年~平成22年)等、過去にあった変則的な昇給に関しては考慮していない

■雑感
 6級ともなると資料のサンプル数が少なくなるので実際のデータとの比較も正確性を欠くのですが、ざっと見たところ大体上記のシミュレーション通り(あるいはほんの少しシミュレーションより低いかもしれない程度)に昇給することが認められます。
 出世下位グループよりも出世上位グループの方がシミュレーションとの整合性が高くなった背景には、データを出す上で仮定した条件(つまり4年制大学卒業だとか特別昇給が6年に1回の頻度で行われるとかの条件)が出世上位グループに親和的であった可能性があります。以前にエントリーした「データから見る公務員の高学歴化」でも示した通り、そもそも今の50歳代の職員においては4年制大学卒業者が半分に満たなく、またもし仮に高学歴の職員ほど出世したとするならば、出世上位グループがシミュレーションの値に近くなるのも頷けるはずです。
 また30歳未満の職員の給与は、昇給抑制期間の影響と就職時に22歳ではなかった人間の初任給調整を考えればほぼシミュレーション通りとなることからも、やはりシミュレーションと実際のデータで差が出た背景には「条件設定がそもそもこれ以上望めないものとなっている」ことと「現行制度が過去の制度とはかなり異なっている」ことが挙げられるのだと思います。

■まとめにかえて
 結局のところ、今回出した4つのシミュレーションは「現行の制度」において「これまでの実績」通りに昇給した場合にどういうことが起きるのかを概観したものに過ぎなかったと思います。これは個人的な予想ですが、恐らく今後は「昇級」する年齢やどういう人間が「昇級」するのかも変わっていくのではないでしょうか。現時点でそれがどのように変わるのかを予想するのは難しいですが、少なくとも「現行制度を用いて行ったいくつかの昇給のシミュレーションの結果」が「過去の制度を通して昇給してきた職員のデータ」と一致しないところを見ると、平成18年頃に大体その骨子が完成した現行の昇給制度はこれまでの昇給のあり方を変えようと意図されて設計された、と考えるのが普通でしょうし、実際にそのような趣旨のことを人事院勧告などで目にしたことがあります。

 話を最初の方に戻して、「昇給で基本給はいくら増加するのか」について答えを出そうと思います。簡潔にまとめると「国立大学事務職員の昇給は出世の度合いにより若干の差は出るものの、大体40歳までは毎年5000円から6000円台の昇給が行われ、それ以降は最高号数に達しない限りは昇給額は1500円くらいの値に向かって緩やかに減少していく」というのが結論のようです。6つエントリーを割いた割にはシンプルかつ大体予想通りの結論で面白くないのですが、「平成21年度の制度下における国立大学事務職員の昇給の展望」の一つの論として記録に残したいと思います。ついでに新年初っ端から冗長なエントリーになっちまってこの先が思いやられる感じです。

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