フィルムが貼れない

日々，おそうじをする。少しずつねこ毛が出なくなってきた。おじょうさまの痕跡が希薄になっていく。

おじょうさまがなくなった翌日にあたる先週はさぼったけど，今週は定例の中そうじを再開。リビングのシェルフの下にねこ毛溜まりができていたらしく，毛玉が出てきたので，シェルフを動かして，裏面をから拭きし，掃除機も掛けた。
テレビラックの裏もあやしい。
掃除機の排気がねこしっこ臭かった。パックを交換。ねこがいる間は気づかずにいたのだろうか。
剥がしていたラグを戻した。

ヒトで言う初七日過ぎたけど，外出から戻ったとき，台所に立っているとき，ついねこを探してしまう。
末期にはケージで過ごしておられて，足元に寄ってくるとかうっかり踏んづけたりすることはなかったはずなのに，元気な頃の癖が抜けない。
先代とちがって，手がかかるようになってからなくなるまでにひと月ほどあったので，なくなったことの現実感はすごくて，「毛皮がない〜〜！」みたいな焦燥感はない。

なんか気力がなくて，一人でいると本も読まず，うとうとしてばかりいる。そしてたまに，おじょうさまの夢を見たりする。
あとあしの力がなくなって上手に歩けず，ずるずる這っているのを慌ててとめるとか。元気な頃の様子になっていればいいのに。
こねこ……というか若ねこの頃に，郵便受けの蓋を持ち上げて外を見ようとしていたことがあった。その郵便受けの細い縁のところに，いまお骨の脇に置いてあるお花の花瓶が乗っているのとか。郵便受けで遊んでいた頃は，直下に靴箱があって，おじょうさまはそこに乗っかってお外を見ていた。おかあさまのおともだちのお孫さんが遊びに来て，そこからのぞいたらおじょうさまと目が合って，こわくて以降来られなくなったということもあった。
いまは靴箱は撤去してしまって，そのスペースには通勤用のRoadmanを置いている。その，いまの状況で，１センチもないような郵便受けの縁に，小さい花瓶がおいてあるのを，だめ，落ちる！と思いながら見ている夢。活けてあるお花も，いまあるのと全く同じだった。

とはいっても，お弁当はつくるし，眠るし，暑ければ暑いし，仕事にも行く。土曜日は定例のおそうじを早めに済ませ，仕事にも関係する勉強会に行ったりした。食欲がないと思っていたけど動くとやっぱりおなかはすいて，セルフのうどん屋に駆け込んで300円のうどんを食ったりした（まずかった。もう行かない）。

おじょうさまがいないのに，なにごともなく日が過ぎていくのが不思議だ。
おじょうさま没後のレイヤーと，おじょうさまがいらしたころからかわらない日常のレイヤーが，うまく重ならないでいる感じ。スマフォの画面に貼るフィルムに小さいごみが挟まって，そのまわりがちょっと浮いているみたいな。

めそめそしているというのとは違うけど，どうも座りがわるい。
ねこがいないのに，目鼻がかゆいのはなぜだろう。そろそろ，最後につけたフロントラインの効果が切れる頃ではあるのだけど。

自炊を再開しよう。