『魔王』伊坂幸太郎です。
かなり前に話題のベストセラーだったはずだけど、
図書館で予約してから読むので、かなり時期遅れになってしまった。
でも、おそくても来たのはうれしい。
内容は衝撃的なはずだが、ささっと読みやすい。
しかも面白い。
ファシズムに宮沢賢治をドッキングさせたところが、センスのいいところ。
しかし、犬養という人物には魅力を感じなかった。
実感のない、サイボーグという気がした。
先月、衆議院千葉県の補欠選挙で民主党の女性候補が当選した。
民主党代表の小沢さんが自民党の小泉さんに勝った構図である。
この小説は今の時代の状況にぴったりだから、もっと刺激的な感じがするはずだけど。
どうしてだか、イマイチ実感がわいてこなかった。
ファシズムを描いた小説なら、村上龍の『半島を出よ』や『愛と幻想のファシズム』がある。
そちらの方が垢抜けてはいないが、実感や高揚感があった。
『魔王』は読んでても、さめている本という感じがした。
作者は真っ向対決のテーマよりも、ちょっと斜から切り込んだ方がお得意なのかも。
同じ作家の『死神の精度』の方がオススメです。