何かが変わったわけじゃない
何一つ
ただ区切りをつけるのだ
地平線続く道半ばで
少しの安息のために
一つ線を引いておくのだ
自分自身を変えるのではない
自分自身を見詰めるのだ
君自身を変えるのではない
君自身を見詰めるのだ
変化は望むまでもなく
日に日に変化していく
変化は成長ではなく
道なのだ
もし何かが変わったのなら
扉を開けてしまったのだろう
あなたにしか開けられない扉を
エネルギーは
必要なときに
訪れる
パタパタパタ
足音をならす
花いちもんめ
遺伝子が
ささやく
あの子がほしい
あの子じゃわからん
「ひとりでカラカサさしてゆく」
江國香織 著
つぶやきたくなるタイトルから中身へ。
はじまりは80代の3人の猟銃自殺。
衝撃のはじまりとは裏腹に、
鳥たちが囀る。
3人の少しの景色を織り交ぜながら、
主に語られるのは残された者たちのその後の日常。
残された者たちは日常の生活に死を想う、
メメントモリがそばで何かを語らせる。
時代背景はいまのこの新型コロナ。
身近になってこそ実感する鳥肌。
江國香織の言葉は立ち方に寄る辺する。
ひとりでカラカサさしていく。
ウイルスが世界を覆う。
そして戦争がおこった。
どれだけ身近になれるだろうか。
日常の生活に入り込むひとつの真実。
世の中のひとつの流木。
言葉からみえる、また見えたものから言葉に。
恋ができる僕たちは
なんてこんなに幸せに
満ちあふれているのだろう
時には溺れてしまう
僕らはかわいい動物だ
孤独でほほえましい変態だ
美しい恋する動物だ