余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で春はほほえむ

恋文の技術

2024-04-27 22:38:03 | マイブック(ま)
「恋文の技術」
      森見登美彦 著

手紙の良さをあらためて思う。
小説の妙であり、この本を読んで技術が上がるかといえば、
?がつくけれども手紙の書きたさは上がる。
主人公のは守田一郎。
大学院から僻地へと飛ばされて、研究以外やることのない生活から
文通修行をはじめる。
友人に妹に家庭教師だったころの教え子に先輩にと。
そしてなによりも届けたい人に送るため、
手紙に想いを込めて言葉を綴るための模索。
どうすればこの想いは伝わるのだろうかと。
おっぱい事件等の寄り道をしながら。
手紙はなによりも書いた字、書かれた字のあたたかさが伝わる。
その特別な温度が心を揺さぶってくれる。
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2024-04-16 23:59:51 | マイブック(ま)
「光」
      三浦しをん 著

冒頭のシーンがなんといっても衝撃的だった。
3・11の震災を思い起こさせる描写にあの時の衝撃が蘇ってくる。
島が津波によって呑み込まれていく場面に。
この本はそれよりも以前に出版されたものにもかかわらず。

そしてその津波に運よく逃れた、また逃れてしまった3人の子供。
その関係性の物語。
失ってしまった虚無感と、あるはずのものを見続ける空虚さを、
ない交ぜにして生きること。
そこにある影の存在を導かせながら。
影があって光はある。
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コインロッカー・ベイビーズ

2024-02-27 23:11:12 | マイブック(ま)
「コインロッカー・ベイビーズ」
      村上龍 著

キクとハシ。
ふたりの少年はコインロッカーで生まれた。
親の知らない子供。
その子供は大きくなり育っていく。
心の中には何があるのか。
養子となり共に孤島で過ごすが、
求めるものの違いからキクとハシは島を出る。
毒は欲しがる、心をもとめて。
心は求める、世界の果ての生まれ変わりを。

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傷を愛せるか

2023-11-26 22:44:10 | マイブック(ま)
「傷を愛せるか」
      宮地尚子 著

傷。
体の傷、心の傷、見える傷、見えない傷。
いろんな傷がいたるところに潜み、また這いずり回る。
その傷は生きることで生まれ、生きていることで抱える。
その傷はどうすればいいのか、どうしていけば人を愛せるのか。
自分を愛せるのか、許せるのか。
答えのない、けれど考え続ける。
医師の書いた言葉に寄り添われながら。
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人生エロエロ

2023-11-24 23:45:11 | マイブック(ま)
「人生エロエロ」
      みうらじゅん 著

人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
の書き出しではじまる週刊文春の連載の文庫化。
人間の三大欲求のひとつはやはり身近なもの。
外してはいけない、いられないのほうがいいかな。
みうらじゅんの語りがよく、愛ゆえのエロ。
興味津々のエロ。
人生のエロ。
ほっと一息ついでに読みたくなった。
エロと私と。
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