余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

中空構造の深層

2024-07-05 23:53:34 | マイブック(か)
「中空構造の深層」
      河合隼雄 著

とても興味深かった。
日本人の心の有り様を神話「古事記」により分析する。
西欧と比較しながら思考していく。
むかしから伝わる神話や昔話は、
今現在の私たちの心の深層に根差し続けている。
それは宗教にも通じるだろう。
日本の神話にはこんな構造があるという。
イザナミ、イザナギの子、
アマテラス、ツクヨミ、スサノオの三神のうちツクヨミだけが
物語として語られない。
またニニギとコノハナサクヤヒメの三人の子のうち、
真ん中の子の物語は語られず、その有り様が
日本人における深層にある軸が中空、無であるという。
時代によって置き換わっていく。
物語は心を寿ぎ、時間軸、空間軸となっていく。
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死ぬ瞬間

2024-07-01 22:41:06 | マイブック(か)
「死ぬ瞬間」
      E・キューブラー・ロス 著
      鈴木昌 訳

アメリカの医師による著書。
病にかかり死への眼差しを向けなければならなくなった人たちへ、
面談により心に思っているものを知る。
そして知ることにより、人に与えられた死というものを感じていく。
どう接すればいいのか、どうすればいいのか。
生老病死。生きることと対の死。
その死を人々の体験談により知識を積み上げていく。
さまざまな思いを持った、想いを持つ人の言葉。
題にもある死の過程。
否認と孤立、怒り、取り引き、抑鬱、受容、希望。
また患者の家族、医師、看護師の言葉も記述されている。
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奴隷小説

2024-05-18 00:13:53 | マイブック(か)
「奴隷小説」
      桐野夏生 著

御伽の世界でありながらも、人間の一つの面。
集団のなかの個。個であることの束縛。
縛られた世界。原初の持つちから。
鎖で繫がれたものはなんであるか。
この短編集で語られる知っている、
知っていたものがたり。
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アンソーシャルディスタンス

2024-04-01 01:13:39 | マイブック(か)
「アンソーシャルディスタンス」
      金原ひとみ 著

アンソーシャルディスタンス。
コロナ化で言われたソーシャルディスタンス。
距離。
距離とはなんだろうか。適切な距離?
五つのストーリーからなるが、
どれも一気に物語の中へと入ってしまう。
ストロングゼロ(お酒)に向かってしまう、整形へと向かってしまう、
夫以外の人へと行ってしまう、死を思ってしまう、
性欲と辛いものへと向かってしまう。
相手との心との依存との距離。
物語へとぐっと入ってしまえるのは、
たとえ小さくとも光がなくては読む進められはしない。
覆う闇は光があってこそとして。
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月夜の森の梟

2024-03-28 22:35:04 | マイブック(か)
「月夜の森の梟」
      小池真理子 著

かなしみのつまったエッセイ。
自然の音を聞きながら。
自然の光、または闇によって研ぎ澄まされながら。
夫の小説家の藤田宜永の死別から、
すこしの時間が経ってから書きつらねた言葉。
逃れられない病、いなくなった空間の孤独、
共に過ごした出来事があらわれて、
見詰めてしまう空虚な時間。
ながれていく季節。
そして今日、いま、明日を生きること。
朝の真昼の夜のひかりを浴びて。
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