余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

叫びの渦

2022-02-08 22:26:54 | 十五の詩
叫ばざるをえなかった
脅威の失意と
渦のように現われた朝の雲
大地と空があやふやになり
眩暈が押さえ込んできた感情を
大きく開いた口から声が出る
引き裂かれる空間
渦を巻く顔の歪み
叫び
叫び
叫びは底のない天へ伸びていき
ブラックホールに呑み込まれる
まるで何もなかったかのように
静けさだけが広がっている
音の無い世界
そして声の無い叫びが
眠りから起こされる
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才能

2022-02-08 22:24:00 | 十五の詩
眠れる才能が
瞬間で一瞬の出来事によって
這い出て来る
背けられない目は
潰れることを覚悟する
甘美の美酒を飲み干すように
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か ぜ

2022-02-08 22:21:40 | 十五の詩
胸が張り裂けそうになる
研ぎ澄まされていく感覚は
近づくものに嫌悪し
罰せられていく螺旋の無限
取り壊そうとする歪な壁は
たくさんの人だかりで守られる

か   ぜ

風が胸を吹きぬける
音の無い風が

当て所も無く彷徨えば
いつかの幕が立っている
桜の咲く、花びらの舞う
諸行無常を謳うかのような
桃色の道

何に追われている?
何を追っている?

失うものなど何も無い
でもどこかで待ち望んでいる
悲しく憐れで惨めな個体
這いつくばり追いすがる
泥にまみれた手の平は
表情を病魔に変えてゆく
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道程

2022-02-08 22:20:29 | 十五の詩
今まで歩いてきた道程が
見るも無残に散らばっていく
色も臭いも記憶も
不思議に乱した髪は
不協和音をクレッシェンドする
演技していく細胞は
朽ち果ててはまた蘇り
受話器を持つか迷いだす
街灯は炎となり
鳴り止まない音楽は
写真のように切り取られていく

今まで何と繋がっていたのか
何とも繋がってはいなかったのか
愛する人すら呼吸すら
唇の音も瞳の演舞も
何もかもが無意味だった
身体全てと言っていい
発する叫び全てと言っていい
いつだっかた忘れてしまった
傷が熱く燃えて紅く染まる
赤い海を流れていく
引き戻されない光の海に焦がれて
ああ 風が呼んでいる
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その時の

2022-02-08 22:14:47 | 綾取りの塔(短歌)
その時の
本に出会いて
ものがたり
むすばれてまた
ほどかれていく
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