つかみ損ねた恋愛観は
私の脚に重りをつける。
抱き寄せようと在るべき恋愛論は
私の腕に計りをつける。
私が知ろうとしたり分かろうとしたことは
幻影を色濃くしたもの?
ただ私は触れたかったの。
あなたの中に。
愛欲ってこぼれるの?
人はきっと傲慢だろう
だがその傲慢こそが
美しさを際立たせる
唯一の希望なのかもしれない
その傲慢とは勝手気ままな
強欲ではなく
大胆かつ可憐な妖艶をもち
そして非情にも似た微量の
ふくよかさを持つことこそ
美への追求からはじまる
そこに圧倒される静けさがある
息を呑む美しさがそこに集約される
求め合う二人の結末は
どんなだったか
思いだせない
でも僕はひかれ続けるだろう
結末は思いだせないが
この体の部分部分に
あなたの記憶は残り続ける
愛しく苦しく
僕のそばにあなたがいて
あなたのそばに僕はいない
力の暴力は簡単だ
殴り痣ができ
蹴り内出血をおこし
気絶する
それの繰り返しをするだけだ
言葉の暴力は簡単だ
欠落を指摘し
無視をし
憤怒を吐き
心が弾くのを待てばいい
心の暴力は簡単だ
力と言葉を操り
揺さぶれば良い
誰もがその資質を持っている
それ故自らの肯定を信じて疑わない
暴力は相手を錯乱に至らしめる
その危険を帯びている
誰もが持ち共感し
相手のひざまずく姿を想定しては
膝を叩いて悦ぶ
いくつもの顔が並べられ
次の獲物へと移行する
あなたの心が私から
はなれてしまったと
あなたは私を見失い
私はあなたを見詰めてる
これほど過ごした
告白のあと
私のあえぐ苦しさが
あなたにはもう見えない
そう聞こえない
のっぺらぼう
私かあなたかのっぺらぼう