栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

消費税増税問題、理は小沢氏の方にある。

2012-06-04 11:46:57 | 視点
 今回の野田、小沢会談は当初の予想通り平行線を辿り、これまた当初からの予想通りの結果に落ち着いた。
野田首相は野党との協議に舵を切り、小沢氏は離党しない。
小沢氏の離党がないことは当初から分かっていたことだが、両者の主張で終始一貫、理があるのは小沢氏の主張の方である。
にもかかわらず、マスメディアも自民党も「小沢嫌い」で、野田首相の肩を持つ。
特に自民党の小沢嫌いはある程度仕方ないとしても、マスメディアの、今回の会談を政局絡みにする論調は明らかにおかしい。
根本にあるのは消費税増税が本当に必要なのかどうかだ。

 例えば東京電力の電力使用量の値上げ問題を想起して欲しい。
利用者に値上げを要請しながら、社員にはボーナスを支給する計画になっていたではないか。
身を切る覚悟などは毛頭ないわけだ。
それに対して東電側は役員手当や社員の給与カットをしているというが、もともと一般企業に比べてかなりの高額給与を支給していたわけで、それを何%かカットしてもまだ一般企業の給与に比べれば高い給与水準である。
人員削減、所有不動産処分などを積極的にせずに、利用者に電力使用量の値上げを「お願い」をするのはおかしいだろう。

 今回の消費税増税問題も同じだ。
税収不足を言う前に「身を切る実行」こそが必要ではないか。
国会銀の報酬カットは行われていないし、議員宿舎の家賃は破格の低家賃のままだし、民主党政権になってムダがカットされたどころか、逆に支出が増えている現実。
東日本大震災の復興予算にしても各自治体が要請した予算以上のものを政府が付けているのは「羮に懲りて膾を吹く」だ。
税収不足の言い訳に総額予算を増やすことより、使いやすい予算を、迅速に提供し、総額は抑える方がいい。
道路建設も「仕分け」されたものが、この1年でどんどん復活し、自民党政権時代より増えているではないか。

 国民もこうしたことを指摘し、増税にノーと言うべきなのに、メディアを筆頭にノーと言わない。
新聞に至っては「党議決定に従わない党員(国会議員)は厳正に処分するのが当然である。その覚悟を党代表としての首相に求めておきたい」(西日本新聞)と書くなど、完全に問題隠しの政局問題に矮小化してしまっている。

 小沢氏が嫌いとか好きという問題ではなく、誰が理の通っていることを言っているかを見極め、きちんと報道するのがマスメディアの使命だと思うが、いまや彼らは自ら死を招いている。



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