まろの公園ライフ

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桐島、部活やめるってよ

2016年09月30日 | 日記

もう4年前の映画である。
作家の朝井リョウが早稲田大学在学中に文学賞を受賞し
一躍、脚光を浴びた作品である。

映画化されたのは知っていたが観なかった。
数々の映画賞を総なめしたことも知っていたが関心がなかった。
チャラチャラした青春小説が原作だけに
どうせ大した映画ではないだろうと高をくくっていた。
そもそも、部活をやめたからどうだって言うんだ!
なんて興味より反感が先に立った。
ちころがである。
ところが初めてDVDを借りてみたら
意外と言うか、ちょっと圧倒されるぐらいによかったのである。
これは近ごろ出色の青春映画の傑作ではないか!
コロリと前言を翻してしまった。(笑)

高校生たちのイキイキとした群像劇である。
主人公はバレーボール部のキャプテンで人気者の桐島君。
スポーツが出来る、顔がいい、性格も社交的という典型的な優等生で
校内ヒエラルキーでは常に上位に位置するグループだ。
しかし、桐島君はなぜか画面には出て来ない。
そこに誰からともなく桐島君が部活をやめたという噂が立ち
学校も休んでいることからクラスメートの間にいつしか動揺広がる。
親友の菊池くん(東出昌大)も不安で桐島の姿を探す。

その桐島君と対極にあるのが映画部の前田君である。
トレードマークの黒縁のメガネにチビで、いかにもオタクの風貌。
ゾンビ映画が好きと言うネクラの映画少年を
最近、成長著しい神木隆之介君が見事に演じ切っている。
運動もダメ、女の子にもモテず、ひたすら屈辱に耐える底辺グループ。
校内に歴然と「格差社会」が存在するのが面白い。
では、ちょっと予告編を・・・

映画『桐島、部活やめるってよ』予告編

桐島君が部活をやめる・・・
誰もがただそれだけの不確かな噂に翻弄されながら
しなやかでリアルな言葉で青春を語り
不安に満ち満ちた高校生活を全力で駆け抜けて行く。

結局、最後まで桐島君は画面に登場しないのであるが
観ていて、ふと思い出した戯曲がある。
フランスの劇作家サミエル・ベケットが書いた
あの「ゴドーを待ちながら」である。
登場人物がひたすらゴドーさんの話題を話しているのにも関わらず
最後まで肝心のゴドーさんは登場しないという
あの不条理劇の金字塔。
青春時代には何度か見た舞台だったか
まさしく「ゴドーを待ちながら」の高校生版を見るようであった。

最後に橋本愛ちゃんが素敵だったことを付け加えておく。(笑)


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2 コメント

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ねくら青春 (雫石鉄也)
2016-09-30 09:37:52
青春映画というと「スウィングガールズ」「ウォーターボ^-イズ」のような、いきいき明るい青春映画もいいですが、この映画はそれらとは対極をなす映画ですね。
主人公が根暗な映画少年、撮ってる映画がゾンビ映画というのがいいですね。
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/s/%E6%A1%90%E5%B3%B6
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確かにねえ・・・ (まろ)
2016-10-01 03:30:57
雫石鉄也様
明るすぎる青春映画は落ち着きませんがネクラな青春映画は妙にしっくり来ます。(笑)
私は映画も食わず嫌いが多いのですが、この映画は「掘り出し物」でした。
私の大学時代も、映研の連中はホラー映画を撮っていましたねえ・・・
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