まろの公園ライフ

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テルマ&ルイーズ

2012年03月03日 | 日記

先日、何気なくテレビをつけたら懐かしい画面が飛び込んできた。
茫漠たる砂漠とハイウェイを疾走するサンダーバード。
そして、二人の女性の陽気な笑顔・・・

1991年のアメリカ映画「テルマ&ルイーズ」だ。
途中からだったが、思わず仕事を放り出して見入ってしまった。
もう何度か分からないほど繰り返し観た映画なのだが・・・
監督はリドリー・スコット、主演はスーザン・サランドンとジーナ・デイヴィス。
アメリカン・ロードムビーの傑作である。

映画の舞台ははアーカンソーの小さな田舎町。
退屈な日常に辟易しているウエイトレスの独身女性ルイーズ(スーザン・サランドン)と
夫の横暴に耐えかねている主婦のテルマ(ジーナ・デイヴィス)は親友で
ある日、現実逃避のためにちょっとした「家出ドライブ旅行」に出る。

ところが、途中に食事に立ち寄ったバーで悪酔いして店員にからまれ
強姦されそうなったテルマを助けようと、スーザンは思わず拳銃で相手を射殺。
楽しいはずのバカンス旅行が一転、絶望の逃避行となる。

二人はメキシコ国境を目指して砂漠の中のハイウエイをひたすら逃げる。
私はどういう訳か「アメリカン・ロードムービー」が大好きなのだ。
あの「イージーライダー」を筆頭に「ミッドナイトラン」「ストレイト・ストーリー」
「地獄の逃避行」「リトル・ミス・サンシャイン」など名作が数々ある。
アメリカの広大な大地と抜けるような青い空、どこまでむ続くハイウエイ・・・
その爽快感とドラマチックな旅のダイナミズムにいつも心が浮き立つ。
狭い日本だと、残念ながらこうはいかないからなあ・・・

この「テルマ&ルイーズ」で二人が乗っていたのが・・・
懐かしの66年型のフォード・サンダーバード・コンバーチブル。
アメリカの自動車文化、いやアメリカそのものをを象徴する往年の名車だ。
日本のモーターファンには垂涎の的ではなかろうか。
とにかくカッコいい!

カッコいいと言えば、この映画で泥棒のヒッチハイカーJ・D役で出ていたのが
まだ売り出し前の「ブラッド・ピット」である。
不遇をかこっていた彼もこの映画で注目され一躍、スターダムにのし上がる。
ちょっと尻軽なテルマはたちまちJDと意気投合し一夜をともにするが・・・
ルイーズが元恋人から送ってもらった大切な「逃走資金」を持ち逃げされてしまう。
嘆き悲しむルイーズとひたすら謝るテルマ。
またまた追いつめられ、二人の友情もこれまでかと思われたのだが・・・

この事件を境に突如、たくましい女へと生まれ変わるテルマ。
JDから寝物語に聞いた銀行強盗の手口をマネてスーパーマーケットを襲撃。
店主を拳銃で威し「逃走資金」をまんまと手に入れる。
驚き呆れるルイーズを叱咤激励し、再びメキシコを目指すテルマ。
このあたりの逆転劇がなんとも痛快でワクワクしてしまう。
しかし、スーパーの防犯カメラには犯行の一部始終が記録されていて
二人は一気に追いつめられていく。

この映画のラストシーンは印象的だ。
無数のパトカーやヘリの追跡を受け峡谷の断崖に追いつめられる二人。
しかし、二人にはもはや「投降」という選択肢はなかった。
互いの友情を確かめ合うように笑顔で手を握り合い
力いっぱいアクセルを踏みこむと、車ごと断崖から深い峡谷に向かってダイブ。
映画はそのストップモーションで終わる。

この映画のラストシーンにはいつも切なくなる。
誰もが現実の抑圧や閉塞から脱出したいと願っている。
しかし、それが「見果てぬ夢」であることも誰もが知っている。
だからこそ、テルマ&ルイーズに一瞬の夢を託すのではないだろうか。
例え「刹那」と言われようと、映画から刹那がなくなったら何が残ると言うのか。
映画とは本来そうしたものだと思う。少なくとも私は・・・

で、最後にまたまた「番宣」ですが
今夜の「美の巨人たち」スペシャルは
パリの美の殿堂「ルーヴル」と「オルセー」の二大美術館の謎に迫ります。
夜10時からTX系全国ネットで、よかったら見てね!

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うる覚えですが (海月)
2012-03-03 12:07:53
確かこの映画は、物語の展開と共に、出演者がどんどんたくましくなっていく様子が描かれていたような…

女性の力強さ、順応力。
自立への目覚め。

監督はそんな事を描きたかったのでしょうか?

因みに、ロードムービーで僕のお気に入りは、男目線でみると切ない映画、『パリ、テキサス』が好きです。

ナスターシャ (まろ)
2012-03-03 12:40:14
海月さん
渋い!「パリ、テキサス」は巨匠ヴィム・ヴェンダースの
ロードムービーの「金字塔」とも言える傑作ですよね。
確かカンヌで賞を取ったような記憶が・・・
映画もよかったけど、私は母親役のナスターシャ・キンスキーの大ファンで
大いに胸がときめいたものです。
彼女、最近見ないけどどないしてんのかな???
好きな映画 (ばつ丸)
2012-03-03 16:38:09
この「テルマ&ルイーズ」好きな映画です。
 先日、人に好きな映画3本を上げよ。と言われて、
「レッド・オクトーバーを追え!」「エビータ」「ライトスタッフ」と答えたら、それは映画心理分析で、
  1本目の映画 自分がどう見られたいか?
  2本目の映画 自分の根底に流れるテーマ
  3本目の映画 バランスを取る
 コトブキツカサという人がこのごろ映画関係の番組でよくやっているのだそうです。
「その3本はこう分析できる」と良い事を言われたのですが、「水面下で動き回り」「成り上がり指向が強く」「足が地につかない」と分析する事もできるなぁ。
 今夜の「美の巨人たちSP!!」見せていただきます。

エビーダ (まろ)
2012-03-03 20:12:49
ばつ丸様
思わず笑ってしまいました。
なるほど、根底には「成り上がり志向」が脈々と息づいている訳ですね。
このご時世にそんな人はそうそう多くない訳ですから
いいんじゃないでしょうか!
「足が地に着かない」のは私も同様ですが・・・
「美の巨人たちSP」、あまり出来はよくないのですが・・(泣)

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