東京の桜はほぼ満開。
東京を遠く離れた甲子園球場では阪神タイガースが巨人に快勝!
言うことのない春である。
まあ、春の主役が桜であることは仕方がないとしても
脇役陣もなかなかである。
モクレンの花が華麗に咲いている。
私はこの薄紫色のモクレンが大好きでいつも見とれてしまう。
純白のハクモクレンもいいが高貴さでは断然こっちだ。
バイプレーヤーでありながら立派に「主役」を張れる力量がある。
椿の花はあらかた散ってしまったが渋太く残っているのもある。
これは「乙女椿」という品種らしい。
椿というのは花期が長いせいか実に粘り強い印象がある。
これも決して主役ではないが、なかなか味のある「脇役」で目を惹かれる。
キレイな花を見ていただいた後でいささか恐縮だが
国民新党代表だった亀井静香氏である。
この方も身内のクーデターで主役だか脇役だかの座を転げ落ちてしまった。
まあ、政界のことだから真相は定かではないが
要するに「頑固オヤジいい加減にしてくれ!」ということらしい。
子分がひそかに結託して親分を追放するというのは珍しいことではない。
大昔、「なぜだ!」の名セリフを残して取締役会で解任された某百貨店の社長もいた。
しかし、それにしても「もあまりの仕打ちではないか」と思う。
私の根拠のない勘だが、この人はそれほど悪い人ではないと思う。
信念の人だ。ただ、信念の人ではあるけれど、昔から人が良すぎて脇が甘い。
かつて自民党総裁選では政策協定を結んで
小泉政権誕生に尽力したのにあっさり政策協定を反故にされて煮え湯を飲んだ。
郵政民営化をめぐっては、その小泉首相から抵抗勢力の代表格と批判され
選挙区にホリエモンをぶつけられて危うく落選しそうにもなった。
郵政改革法案では舌先三寸の菅直人首相に公約を破棄されて大臣を辞任。
連立与党の代表として消費増税に、再三、撤回を求め続けたが野田首相は無視。
長年の盟友であるはずの石原都知事でさえ
今回の代表解任騒ぎには「自業自得」とニベもない。
まったくもって四面楚歌、人情紙風船、政界のドンキホーテとなり果ててしまったが
私はこの人をそれほど嫌いではない。
広島県庄原市の貧農の出身。
苦学しながら東大を出て警察官僚にまでなった立志伝の人である。
尊敬するのは大塩平八郎とチェ・ゲバラ。
高校時代から熱血漢で正義感が強く、ストライキを扇動したカドで退学処分も。
警察官僚時代には飲み屋でヤクザ三人を叩きのめした武勇伝もある。
苦労人だけに、鬼瓦のような風貌に似合わず清廉潔白で
政界では数々の大臣を歴任しながらも「金」にまつわる噂は皆無と言っていい。
徹底して「筋を通す」信念の人だが
今回は筋を通しすぎて嫌われたと言うべきだろう。
しかし、「この人に頼めば何かをやってくれるのでは・・」という期待度はある。
実にアバウトな「人柄」と「言動」で呆れることも多かったが
アバウト故に話はわかりやすく、ことの本質を的確についている場合も多かった。
こういう政治家が一人ぐらいいなければ、と思う。
頭がいいだけのサラリーマンのような政治家ばかりになっては希望がない、と思う。
政治家・亀井静香には「野育ち」の強さがある。
決して美しい花ではないが、人間としての不思議な「華」がある。
これだけ政治が混迷を続けていると
政界の「寝業師」がアッと言わせる局面だってあるかも知れない。
いかにも昔堅気の「国民政治家」などと言うと持ち上げ過ぎだろうか。
個人的には面識も義理もないのだが
私はこの寝ぐせがトレードマークのオッサンに妙な親近感を覚えるのである。
魑魅魍魎が蠢く政界ですっくと立って
ぜひ、もうひと花咲かせてもらいたいと思うのである。