またしても「飲み会」だった。
旧知のディレクターと雑誌ライター。
二人とも大酒のみの「女性」だから覚悟して出かける。
会場は芝公園近くの魚が美味しいお店。
約束の30分ほど前に着いて「増上寺」をぶらりとした。
前方に薄暮の東京タワーが見えてくる。
昨日は浅草で東京スカイツリーを撮ったばかりだけれど
やっぱりこっちの方が親しみがわく。
増上寺が桜の名所かどうかは知らないが、やはり桜はある。
ちょうど法然上人の「800年大遠忌」だとかで参拝客も多いようだ。
800年か・・・うーん、南無阿弥陀仏。
山門をくぐると満開の桜。
勤め帰りのサラリーマンたちがコンビニで買った缶ビールをぶら下げて
三々五々、うれしそうに集まって来ていた。
増上寺は上野の寛永寺と並ぶ徳川家の菩提寺である。
威風堂々の本殿はいつ見てもホレボレする。
桜が似合っているなあ・・・
東京タワーと桜。
やっばりスカイツリーより味がある。
人間臭さがある。
大地にドッシりと根を張った鉄骨のフォルム。
半世紀にわたって東京の街を見守って来た歴史を感じる。
増上寺の境内にある水子地蔵。
この世に生を受けることのなかった子供たちだが
どの顔もふくよかで愛嬌があって救われる。
午後6時から呑み始めた。
相模湾の小魚を中心にしたコース料理。
気心の知れた仲間だからドンドン酒がすすんでしまう。
マズイなあ・・・と思いつつもとまらない。
お互い口には出さないがフリーランスというのは「戦友」という意識が強い。
当然、仕事の浮き沈みはあるし、常に不安を抱えて生きている。
人には言えない「怒り」も「屈辱」も山ほど抱えて生きている。
だからこそ一緒に飲む時は思い切り楽しむ。
時にはハメを外すこともある。
すっかり酔っぱらった後、夜空の東京タワーを見上げた。
この後、オバサン二人とオジサン一人は
コンビニでビールとウィスキーを買いこんで花見宴会をやらかした。
しこたまに飲んで、懐メロを放歌高吟した。
道行く若者が呆れた顔で通り過ぎて行った。
お互いに忙しいから、今度いつ逢えるかわからないが
それまで元気でいよう・・・心の中で誓い合った。
東京タワーの灯りが目に染みる夜だった。