久保田潤一郎の不健康日記

久保田潤一郎の日常と医療情報

肩にボツリヌストキシン注射??

2022年07月02日 | Weblog
流行っているのですか??
顔面痙攣、眼瞼痙攣や四肢の痙縮などに効果があるとされるボツリヌス菌が産生する A型ボツリヌス毒素を我々美容医療を行う医師は眉間や目尻のシワに注射しています。最近、なで肩になるので注射してほしいと依頼がありました。
肩から背中にある僧帽筋に注射をするようなのですが、腑に落ちません。
もし僧帽筋の一部に注射すると筋肉の緊張が取れるためになで肩になるかもしれませんが、腕を上方にあげにくくなってしまいます。
肩こりにも適応がありません。かえって肩こりが悪化します。肩こりの原因は肩周りの筋肉の過緊張ではありません。血行不良が主な原因と言われています。
ですから、筋肉量の少ない女性に多いのです(筋肉量の多い欧米人には肩こりという感覚がない)。
もし、筋肉量の少ない女性にA型ボツリヌス毒素を注射した場合何が起こるか?筋緊張が抑えられ、筋萎縮の結果、筋肉量が減ります。その結果、血行不良は増悪し、ますます肩こりがひどくなってしまうことが予想されます。
以前、ふくらはぎを細く見せるために注射するのが流行りましたが、転んだり歩きにくくなる症状が出たので、注射しなくなったと思っていましたが、まだこんなことをやっているのですね。呆れます。
病的な神経症状の改善のための注射が、こんなことに使われるのは理解できません。残念です。