久保田潤一郎の不健康日記

久保田潤一郎の日常と医療情報

専門医制度って何??

2017年07月28日 | Weblog
久しぶりに投稿します。
本年2月に診療所を移転して、私なりの考えで診療を続けています。
5月の連休には恒例になってきました「しまなみ海道自転車旅」に行くことができました。
さて、最近よく考えることは医師としての生活です。
父は産科・産婦人科の開業医として長く地域医療に貢献したと思います。亡くなる前年まで診療に携わっていました。
一般的に医師は医学部を卒業して、国家試験に合格して医師免許を得ます。現在は研修医制度が必須となりましたが、私が卒業した頃は任意でした。その以前はインターン制度で、インターンが終了してから国家試験を受ける形になっていました。この制度が廃止になった背景には、医師免許を持っていないインターン生が患者を診て良いのか?給料は?等々、患者を診察し、的確な治療を選択し、患者の社会復帰を支援するという医療の本質とは異なるところの議論の結果だと思います。
私の場合はどうでしょうか。
卒業大学と異なる大学病院での研修を選択した理由は、高校時代からの親友が戻って来いと言ってくれたことに尽きます。推薦状もその親友の父親である教授に書いていただきました。私の身元引き受け人である父の恩師からの推薦状もあったそうで、推薦状が2通あるのは珍しいと言われ、赤面したのを今でもよく思い出します。
父と同じ生殖医療を選択せず、形成外科を選択したのは、先天性異常、後天性異常の機能と形態を修復することで、患者の社会復帰を促すことに魅力を感じたからです。
研修医2年、専修医4年の6年間で関連病院などの出張を含め研修を行いました。その間に、国としての専門医制度が発足し、私も日本形成外科学会専門医を取得しました。そして、研究期間を経て、医学博士号を取得するというコースに何の疑問もなく進みました。
ところで、専門医って何ですか?専門医制度は何を目的としているのですか?改めて考えています。
医師は患者さんのために存在します。そのために一般には許されない診察やメスを持つことが許されていると思います。
それでは専門医は?専門知識が豊富で、治療に長けているということを所属医学会や国が認定しようということでしょうか。
現在、専門医制度が大きく変わろうとしています。私の理解では専門医機構というお役所に直結した組織が一括管理するようになるのです。私の所属している日本形成外科学会ではその制度に従うために、複雑な規約を作り、それも改定につぐ改定と混乱しています。
実際には専門医取得のために学会に出席し、決められた講義(講演)を聴き、その出席証明書を集めることに汲々としているのです。そこには医師として患者に接する基本的な態度や治療技術、医師としての哲学を考える余地はないように思います。国が指導するとどうしてもこのようになってしまうのですね。それについて意見は申しませんが、私は医療には多くの部分に徒弟制が適していると思っています。どんな師匠につけるかが大変重要と思います。その点私は恵まれました。多くの師匠に教えを乞うことができたと思います。修行は最初の10年が最も大切なのは他の職種と何ら変わりません。さあこれから医師として何ができるでしょうか。自分自身が心身ともに健康でないといけません。何事にも注意していきたいと思う今日この頃です。