久保田潤一郎の不健康日記

久保田潤一郎の日常と医療情報

哲学としてのThe PEAKS

2014年09月09日 | Weblog
 The PEAKS、何というタイトルでしょうか。哲学.....。
自転車の師匠でもある私の友人が虎視眈々と企画していたThe PEAKS。企画段階で、相当過酷なコースを走る大会でであることは薄々感じてましたが、今春の試走会に珍しく酷い風邪をひいた状態で参加して(走ってません。あくまでも参加です。)、車の助手席に座ってましたが、そのコースたるや酷いの一言でした。何が酷いって、道が悪いとか、危ないとかいうのではありません。「足が折れるか、心が折れるか」のキャッチコピー通りの世界がそこにあるのです。
そして、本番が2014年9月7日に開催されたのです。
場所は長野県上田市から松本市に至る美ヶ原高原を中心とした山岳地帯です。登山道を走る訳ではないので、一応道路は舗装されています。一部ビーナスラインは舗装の状態も良いのですが、他の道路は決して良いとは思えない箇所がたくさんあります。武石沖という場所がスタート地点です。スタート直後から上りです。美ヶ原公園沖線を上り、武石観光センターから一気に美ヶ原高原美術館の近く(1990m)まで上り、反対側に松本和田線を一気に下り、和田宿に至ります。この道は道幅が狭く林道と言ってよい道で注意が必要でした。でも、実は全行程の中で一番楽な往復なのです。そのことは最後まで走っていくとよくわかる仕組みになっています。その同じ道を上り返し、扉峠からアザレアラインを駆け下り、そして再び同じ道を美ヶ原高原まで上っていくのです。これで行程の約半分です。こんなことしてどうするのと感じませんか。平地は全く無いと言ってよいコースレイアウトです。主催者は何を狙っているのでしょうか。私が感じたのは生きるということは何か、そこに意義はあるのか。なぜ上らねばならいのか、そに坂があるからだ。この答えは後半の行程にあるような気がしてなりません。
 午前3時過ぎ、雨の降りしきる中をライダー達は無言で出発していきます。出発時間は決まっていません。最初のチョックポイントは美ヶ原レストハウス跡地で午前6時に開きます。それに向かって真っ暗な中を黙々と上っていく集団は何なんでしょう。自分を試すために参加するのだろうか。それとも達成感を得たいが為なのだろうか。つまらない日常から非日常を求めてやってくるのだろうか。わからない。
 裏方である運営スタッフは金曜日から道の清掃、点検、資材の運び込み、設置等々、ずっと働き続けているのです。皆、ボランティアスタッフなのです。長野市在住の私の親友のドクターもスタッフとして参加してもらいました。前日午後から登録受付、そして夕方から前夜祭など行事が続きましたので、スタッフは仮眠程度なのですが、みんな笑顔です。もしかするとこの笑顔が目的なのか.....。疑ってしまいました。
雨降りしきる中の準備は大変だったと思います。不満をもらすスタッフは皆無です。この大会を成功させる、その意志を強く感じました。
降っていた雨は和田宿に着く頃あがりました。晴れてきたのです。そうです、だれも雨のせいで走れないとは言えなくなったのです
The PEAKSという大会の鍵は後半の行程にある。美ヶ原高原から武石観光センターまで雨の中上ってきた道を今度は下ります。最後ピークが武石峠、これがくせ者で美ヶ原高原と同程度の標高があります。そのピークを超えて美鈴湖に至ります。ここがゴールなら理解できるのですが、現実はその武石峠をもう一度超えて、長い下りを下りきって、初めてゴールに至るのです。
何を意味するのか、いじめか?私は最後の上りの中間あたりで一人(訳あって)で声がけをしていました。「頑張れ!気を抜くな!もう少し!気を付けて!.....」。ライダー達の顔つきを忘れません。そうです、魂を揺さぶる感動を分かち合うことが目的であることを知ったのです。経験の浅い私は日々の生活に達成感がないから、達成感を求めてやっているだなんてうそぶいていたことを撤回します。そんな気持ちじゃとても挑めません。ゴール地点での我ら仲間の声援。笑顔、笑顔、笑顔、中には半べそ、号泣。人生山あり谷あり、人生の縮図を見た思いです。スタッフとして参加できたことに感謝します。その機会を与えてくれた主催者に感謝します。最後に参加ライダー、運営スタッフ全員に感謝します。ありがとうございました。