庄助さん

浮いた瓢箪流れのままに‥、日々流転。

いとこ会(3)

2006-11-30 23:47:26 | 評論、感想
 暫くの雑談のあと風呂に。渓流に面した野天風呂は川沿いの巨石や樹木を用い、自然の地形を巧みに生かした風情のあるものだった。広い浴場の上には広葉樹の枝葉が覆い被さりその間より夕刻の空が垣間見えた。渓流の向かいには万葉公園の紅葉も所々に…。湯は無色透明の単純泉、温度も熱くもなく温くもなく、柔らかな感触が肌に優しさかった。子供の頃、田舎で入った風呂は木の風呂だった。広い土間のはずれに湯殿があり、すのこの前で履物を脱ぐといくつかのりんご箱を逆さまにした洗い場があった。いとこ同士何人かで一緒によくその風呂に入った。風呂の中で戯れ、じゃれ合うのがまた楽しかった。夏休みともなると親戚の子供たちが多く集まり、伯母さんの夕餉の支度はいつも忙しそうだった。竃に仕掛けられた大きな釜でかなりのお米を炊いていた。燃料は木や藁だった。風呂に入っていると木や藁が燻り、その臭いとともに煙が目に染みた。釜の上には大きな分厚い木でできた蓋がいかにも重そうにどっしりと載っていた。釜の中の水が沸騰する頃になると、あの大きく重い蓋を持ち上げて蒸気がプープーと噴出してきた。暫くするとその蒸気とともに炊き上がり間近のご飯の匂いが隣の鍋でつくっている味噌汁の匂いとともに漂いはじめた。お腹のすいた子供たちにはたまらない匂いであった。 そんな匂いの中で子供時代を一緒に過ごしたいとこ同士、記憶は何年経っても薄れない。   

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