和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

広宣譜48/小説「新・人間革命」

2015年01月17日 19時43分26秒 | 今日の俳句
「聖教新聞」 2015年(平成27年) 1月17日(土)より転載


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【広宣譜48】

 岡山駅から米子駅までは、特急列車で三時間足らずである。山本伸一は、列車が走りだすと、「中国の歌」の歌詞を読み返し、推敲し始めた。彼は、この歌を、広宣流布の情熱がほとばしる力強いものにしたかった。

 一番の「ああくれないの あの友と」の箇所では、燃え立つばかりの、はつらつとした中国の同志の姿を描きたかった。思索の末に、「ああ紅に 友は燃え」となった。

 二番の二行目は、「友どちの」となっていたが、そこは、「友どちと」とした。四番の最後も、「歴史あり」を、「歴史輝く」に直した。

 車窓には緑したたる山々が迫り、高梁川の清流が白い飛沫を上げながらうねっていた。

 数カ所を手直しした伸一は、「続きはあとにしよう」と言って、歌詞を封筒に入れた。

 同行していた妻の峯子は、ほっとした表情を浮かべた。休みも取らずに作詞を続ける伸一が、心配でならなかったのである。数日前から、彼は体調を崩していたのだ。

 だが、決意のこもった声で、彼は言った。

 「これから、『四国の歌』を作ろう!」

 中国に続いて訪問する四国では、「四国の歌」を発表したいと考えていたのだ。

 伸一は、近くの席に座っていた、副会長で四国総合長の森川一正に語りかけた。

 「四国は、今、大発展を遂げようとしている。香川と高知には研修道場も誕生し、各県にも、次々と立派な大会館が整いつつある。皆、満を持して、新しい船出を待っている。

 かつて四国からは、坂本龍馬や板垣退助らが歴史の大舞台に躍り出て、新しい日本を築く力となっていった。広布第二章の新しい担い手も、四国から出ると私は確信している。

 四国の皆さんも、宗門のことで、大変な思いをされてきた。しかし、これを乗り越えれば、皆がもっと強くなれる。何があっても微動だにせぬ力をつけて、時代を変えていくんだ。

 四国出身の正岡子規は、同郷の友・秋山真之に、『いくさをもいとはぬ君が船路には風ふかばふけ波たゝばたて』(注)との歌を詠み、贈っている。四国は、この心意気でいくんだ」



■引用文献
 小説『新・人間革命』 の引用文献  注 「竹の里歌」(『日本近代文学大系16 正岡子規集』所収)角川書店


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