和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

勇将63/小説「新 ・人間革命」

2013年04月28日 16時13分59秒 | 今日の俳句
      小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)4月27日(土)より転載】

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勇将63(4/27)

 支部長の西坂勝雄は、最後に、ひときわ力を込めて訴えた。

 「一昨年、山本先生は、『恐るるな 功徳したたる 妙法の 法旗高らか 奈良は厳たり』との和歌を、奈良の同志に贈ってくださいました。私は、この和歌のごとく、力の限り前進してまいります!」

 真剣であった。懸命であった。

 山本伸一は、新支部長の、その心意気が嬉しかった。彼は、西坂にも、激励に記念の品を贈りたかった。しかし、何もない。

 御宝前に供えられた直径五十センチほどの鏡餅を見ると、彼は県長らに言った。

 「これを差し上げようよ」

 拍手が起こった。伸一は、鏡餅を台ごと一人で持ち上げようとした。重さは二十キロ以上もある。県長の沖本徳光は、運ぶのを手伝おうと、手を差し出した。しかし、伸一は、一人で抱えるようにして、西坂支部長のところまで運んだ。餅についていた粉で、スーツは白くなっていた。だが、そんなことは、全く気にも留めず、「頼むよ!」と言って渡した。受け取った西坂の足がふらついた。

 沖本は、伸一の行動から、リーダーの在り方を語る、師の声を聞いた思いがした。

 “人を頼るな! 自分が汚れることを厭うな! 同志を大切にし、励ますのだ。それが、学会の幹部じゃないか!”

 沖本の五体に電撃のような感動が走った。

 しばらくして、伸一の指導となった。

 彼は、一月の十五日に行われた、若草山の山焼きのことから話を進めた。

 「毎年一回、山焼きが行われますが、必ずまた、春とともに、若草が萌え出る。それは、草は焼かれても、根っこがあるゆえに、草の灰を肥料として吸収し、みずみずしい草を茂らせるのであります。

 人生も同じです。根がある人は、何があっても必ず栄える。根とは信心です。その根をより太く、強くしていくことによって、福運を吸い上げ、自分のみならず、一家一族をも、永遠に繁栄させていくことができる」


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 「和井弘希の文芸政談」に掲載した俳句集
 http://u-736632kazui.hatenadiary.com/


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