和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

若芽9/小説「新・人間革命」   

2013年10月30日 07時15分12秒 | 新・人間革命


      小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)10月30日(水)より転載】


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若芽9(10/30)

 山本伸一と校長の新木高志らが、東京創価小学校の正面玄関前に来ると、教頭の木藤優をはじめ、萩野悦正など、十人ほどの教員が出迎えてくれた。木藤も、萩野も、学会の教育部員として、人間教育の実現のために奮闘してきたメンバーであった。

 教員たちの元気な声が響いた。

 「先生! ありがとうございます」

 「こちらこそ、お世話になります」

 伸一は、教員たちと握手を交わした。

 出迎えた人たちのなかに、制服を着た何人かの児童の姿もあった。

 「入学前なのに、どうして来ているの?

 そうか。入学が楽しみで、待ちきれずに、見学に来たんだね。せっかく来たんだから、みんなで一緒に、校舎を見学しようよ」

 伸一は、こう言うと、校長に案内を頼んだ。

 保健室を過ぎ、いちばん手前にあった一年一組の教室に入った。

 「机も、椅子も、黒板も、新しくて気持ちがいいね。これならば勉強も進みそうだね。座ってみようよ」

 彼は、児童用の小さな椅子に腰掛けた。児童も、教師も座った。

 伸一は、周囲を見渡し、メガネの似合う青年教師に声をかけた。西中忠義である。

 「西中先生! 今日は、児童も来ていますから、授業をしてください」

 西中は、創価女子中学・高校(現在の関西創価中学・高校)の社会科の教員として勤務していた。小学校の教員免許も持っており、東京創価小学校新設にあたって、教員として転勤して来たのであった。

 突然、伸一に言われた西中は、黒板の前に立ったものの、戸惑いを隠せなかった。

 生きた人間を相手にするのが教育である。決してマニュアル(手引書)通りにいくものではない。むしろ、予期せぬ事態の連続といってよい。それにどう対処していくかが、教師としての大事な能力といえよう。

 伸一は、教師には、その対応力を身につけてほしかったのである。



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