※ 北斗七星 ※
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ー2010年1月4日(月曜日)ー
公明新聞より転載
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半藤一利さんの『幕末史』がよく読まれていたり雑誌で幕末、明治の特集が組まれたり、この時代に関心が高い。人物でいえば、坂本龍馬。昨夜から始まった彼のテレビドラマをご覧になった方も多いことだろう。
大転換期だった幕末・明治期は近代日本の「青春」といわれる。その中でも青春の典型的な人物像、ことに理想のリーダー像が龍馬ということなのだろうが、評論家諸氏によると、薩長連合にしろ、後に五箇条の御誓文の内容となっていく船中八策にしろ、彼の独創性からではないという。
評論家の末國善巳さんは龍馬が小説で描かれるのは明治中期以降のことと指摘する。現在、彼がこの時代の主役として人気を得ているのはやはり司馬遼太郎さんが『龍馬がゆく』を書いていたからだ。
司馬作品が新聞連載されていた頃は1960年代の、これも戦後日本が高度経済成長をしていた「青春」の時代。今、青春を回顧するものとして幕末・明治、あるいは60年代に関心が寄せられているのだろうか。それでは困る。
経済成長という一つの物差しで測る時代ではなくなったという点では日本は成熟した国かもしれない。しかし、そこに暮らす青年には未来がある。彼らが「坂之上の雲」を仰ぎながら元気に前に進む環境をつくる。それは大人の責任だ。
(皮)
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ー2010年1月4日(月曜日)ー
公明新聞より転載
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半藤一利さんの『幕末史』がよく読まれていたり雑誌で幕末、明治の特集が組まれたり、この時代に関心が高い。人物でいえば、坂本龍馬。昨夜から始まった彼のテレビドラマをご覧になった方も多いことだろう。
大転換期だった幕末・明治期は近代日本の「青春」といわれる。その中でも青春の典型的な人物像、ことに理想のリーダー像が龍馬ということなのだろうが、評論家諸氏によると、薩長連合にしろ、後に五箇条の御誓文の内容となっていく船中八策にしろ、彼の独創性からではないという。
評論家の末國善巳さんは龍馬が小説で描かれるのは明治中期以降のことと指摘する。現在、彼がこの時代の主役として人気を得ているのはやはり司馬遼太郎さんが『龍馬がゆく』を書いていたからだ。
司馬作品が新聞連載されていた頃は1960年代の、これも戦後日本が高度経済成長をしていた「青春」の時代。今、青春を回顧するものとして幕末・明治、あるいは60年代に関心が寄せられているのだろうか。それでは困る。
経済成長という一つの物差しで測る時代ではなくなったという点では日本は成熟した国かもしれない。しかし、そこに暮らす青年には未来がある。彼らが「坂之上の雲」を仰ぎながら元気に前に進む環境をつくる。それは大人の責任だ。
(皮)