goo blog サービス終了のお知らせ 

岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

映画『この空の花ー長岡花火物語』 大林宣彦監督 その2

2013-09-16 21:01:21 | 映画・DVD 
大林監督ともなると出演者がすごい顔ぶれになる。

主演の遠藤玲子に、松雪泰子さん。
元カレで高校教師に、高嶋政宏さん。
地元の記者に、原田夏希さん。
この3人は「立会人」という立場。

大林監督のお得意である「時空を超える」長岡物語は、多くの死者を登場させる。
猪股南(新人)さんの演じる元木花は、母親の背中で空襲時に死んでしまった1歳児。
立会人の前に高校生として立ち現れる。

一輪車に乗った本木花は、長岡がある地上に浮遊感と疾走感を持って走り踊る。
信じられないほど、一輪車を乗りこなす。
事情を知らない私は目を丸くした。

実は猪股南さんは、「一輪車の全国大会や世界大会にて優勝経験をも持つ」という女優でした。

彼女の一輪車操作の美しさを見るためだけでもこの映画を見る価値はあります。

花の母がリリ子です。
空襲時のリリ子を演じるのが寺島咲さん。
空襲から生き残り、現在は空襲の怖さを紙芝居を使って教えている。
富司純子さんが演じる。


「ぽっぽや」を思い出しますね。
幼くして死別した幼児が、美しい娘となって現れるという話です。

長岡花火の素晴らしさは、本当に特別です。
画家の山下清の代表作も、長岡花火です。
爆弾を花火にしたらいい。
花火と爆弾はとてもよく似た構造だ。

その山下清を花火の点火場所から追い出したのが、柄本明演じる野瀬清治郎です。
野瀬家は代々、花火を製作してしています。
長岡の歴史とともにある家です。

長岡花火は、毎年8月1日の午後10時半に上がります。
土日関係なし。それも午後10時過ぎと夜が更けています。

8月1日は長岡にとって特別な日なのです。
125機のB29爆撃機が襲った日です。
1400名が亡くなりました。

そうです。鎮魂の花火なのです。
2011年、自粛ムードに傾むいた市民を一人の女性が翻します。
鎮魂と再生の花火が上げられたのです。
被災地である石巻でも長岡花火が上げられました。

長岡花火の映画を作りたいと大林監督に持ちかけたのは、長岡サイドです。
初めて長岡花火を観た監督は涙が出たと言います。
花火で涙?
長岡花火には「こころ」があると思ったと。
すごい感性ですね。
その感性を映画にしたのが『この空の花ー長岡花火物語』ということです。 







最新の画像もっと見る