
3月23日、久しぶりの想田和弘監督の「第11回シネマ放談会の日」です。
「観客の皆さんの放談を想田監督が辛抱強く聞く会」?です。
何とも贅沢な会です。
『ノー・アザー・ランド』。ヨルダン川西岸の人々の緊張した日々を追います。
ヨルダン川西岸は、イスラエル軍が実効支配しています。
(1967年第3次中東戦争で占領、以後オスロ合意1993年を経ても実質状況は変わらず)
軍事的な支配をするだけでなく、ユダヤ人入植者が入り込んでいきます。
だが、その地には先祖代々住んでいるパレスティナの人々がいます。
その人々の住居を破壊し学校も壊していきます。
軍隊がイスラエル人の安全を確保し入植していきます。
(イスラエルにはキブツという共同体制度がありましたがその発展形でしょうか)
イスラエルの愛国教育は、いわゆる学校教育と軍隊教育です。
立派な愛国者が誕生します。その結果、パレスティナ人を人と見ない人間が出来上がります。
かつての日本やアメリカを思い起こします。
満州国はだれもいない楽土を開拓するという大義で殖民を送りますが、そこには代々住んでいた人がいました。アメリカもそうでした。
人間は同じことを繰り返します。
映画は、植民地はどのようにつくられるかを映像化しています。
村人は自分たちの村が壊されて行くことに怒り非暴力で抵抗します。
その日々をイスラエルの記者(ユーバール)が取材し発信します。
(自国が進める占領政策を客観的にみることができるイスラエル人は少ないでしょうがいます)
これはとても勇気のいることです。
イスラエルの記者とて安全ではありません。
彼はパレスティナの青年(バセルー主人公)ともに行動します。
パレスティナの村人から非難されながらの取材です。
でも彼に手を出す人はいません。
ユーバールの記事はBBCでも報道されます。貴重な取材だということが分かります。
この映画の中でイスラエル人入植者の粗暴さに驚かされます。
スマホで撮影、「顔をさらすぞ」と脅します(今の日本も)。
そして武器を持たない住民を銃撃します。
軍ならば軍規がありますが入植者にはないでしょう。
想田監督が最後に話したことば、「これはアパルトヘイトです」。
その通りです。
隔離政策です。
この映画はアメリカでは上映されていないそうです。
イスラエルを支持する政府や映画関係者には不都合な事実です。
放談の会ではジャーナリズムとドキュメンタリーついても論じられました。
非常に興味深い内容でした。
伊藤詩織氏の『ブラック・ボックス・ダイアリーズ」にもつながる話でした。
『ノー・アザー・ランド』はシネマクレール丸の内で4月3日までです。
お読みいただきありがとうございました。
参考資料として最適なポリタスTVの対談をみつけました。安田菜津紀さんが現地訪問されています。こちらです。
映画を観る前に県立図書館にて予習をしました。
ウクライナとガザとヨルダン川西岸に平和を!
BBⅭの記事から
2024年9月4日
イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区で暮らしていたパレスチナ人のアイシャさんは、昨年10月にイスラエルの入植者に銃を突き付けられ、50年間住み慣れた土地を離れるように言われたという。
BBCアイ(調査報道チーム)の取材により、入植者たちが作る「前哨地」が、ここ数年で急増していることが明らかになった。
BBCの分析では、西岸地区には少なくとも196カ所の前哨地が作られており、うち半数が2019年以降に設置されている。
前哨地はイスラエルの国内法でも、国際法でも違法だ。
しかし今回の調査では、イスラエル政府と緊密な関係を持つ「国際シオニスト機構」が、前哨地を作る資金や土地を斡旋(あっせん)していることが明らかになった。
専門家らは、前哨地を作ることにより、入植者らが広大な土地を急速に収用しているほか、パレスチナ人への暴力や脅迫も増えていると指摘している。
BBCは今回、アイシャさん一家を追い出したとされるモシェ・シャルヴィット氏という入植者にも取材を行った。