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岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「KY」と知識人 社会との接点は?

2008-01-22 23:13:50 | 社会福祉士
1月22日付毎日新聞夕刊「論壇 早読み斜め読み」から
なかなか興味深い内容だった。
孫引きになるのを避けたいが無理ですね。

まず、宮台真二が『現代』で書いた内容:
世の共通前提のひとつだった知識人と大衆が信頼しあう構図と
その崩壊が書かれている。
そして、今の日本には社会全体とかかわり、大衆向きにものを
語れる知識人がいないという。
官僚や技術者の中にいる「専門バカ」が暴走しても、歯止めがない。
これは、「人文科学」の危機である。(なるほど、同感だ)

大学院の現状の悲惨さに触れて、博士課程修了者の就職率が5割に
過ぎないこと。
博士号をもつ「フリーター」は12000人以上になるという。
また、大学という仕掛け抜きに自らの主体性だけで社会と向き合った
知識人(小田実はその典型)も、少なくとも以前はいたが
今はいなくなったこと(残念なこと)。
柴田翔は『論座』で盟友をしのぶ。
小田は作品で<大状況を、暮らしに深く染み込んでいる姿で描き出し>た。
まさしく、宮台真二の言う知識人ではないか。

医療や福祉、司法などの専門知識を一般の人に翻訳する仲介役を、
博士号取得者の職にできないか。
「高学歴ワーキングプア」水月昭道 講談社新書より

「これが小田的な知識人の新しい姿なのかもしれない」と記事の筆者である
鈴木英生氏は結ぶ。

小田実の全仕事が、このように評価が定められるということなら、
小田実が生涯をかけてつくった「知識人像」を、新しき知識人たるべき
若い人が継承するべきだと思う。
彼の生涯を書物で追体験する試みも大いに意味があると思う。

政治家も、事業者も、労働者も、研究者も、「先人の精神の継承」なくして、
存在価値はないと思うのだが、いかがだろう。

※KYとは、安倍前首相を皮肉った「空気の読めないヤツ」の略だそうだ。
宮台真二は「周囲への同調圧力」だという。いじめに繋がる言葉だろう。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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博士号取得の動機 (bonn1979)
2008-01-23 10:28:45
社会福祉などの現場を踏んだ後に
修士、博士とテーマを発展させて学んだ人を
世の中は捨てておくべきではないですね。

「社会福祉学」以外の分野では
モラトリアム的なオーバードクターが
かなりおられると
その分野の先生から
聞いたことがある。

日本は
(アメリカと違って)
長い歴史があるわけで
先人の知恵はたくさん蓄積されていると思います。

若い人もさることながら
しかるべき責任のある面々も
最近流行の言説を追うのではなく
じっくり構えて欲しいです。

私などは
「書を捨てよ」と
マルクス・アウレーリスウス
にいわれそうですが。
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神谷美恵子さん。 (岩清水)
2008-01-23 19:53:45
自省録の訳者である神谷美恵子の本が数冊、書棚に
あります。
「こころの旅」の中にエリクソンの言葉が
書かれています。

「ものごとや人間の世話をしてきた人、他の人間を
生み出したり、ものや考えをつくり出し、
それに伴う勝利や失望に自らを適応させてきた人
ーそういう人においてのみ、これまでの7段階
(自我の発達理論と思われる)の実がしだいに
熟して行く。このことをいいあらわすのに
統合以上にいいことばをしらない」。

指針になることばと思っています。
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