岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

こころの揺れは、身体の揺れに。

2008-01-23 20:55:16 | 社会福祉士
今日は、手術後1週間を過ぎた利用者の方を見舞った。
片足が足先までギブスで固定されている。
耳が遠い方なので、会話はスムーズではない。

病室に入ると私に気づかれた。
眠ろうとしているのだが、眠れないという。
私の名を口に出し、「ありがとう」と手を合わさられる。
私は、手を合わされるには値しない人間だが。

実は先週、この方の事故(転倒骨折)の話を聞いて、
こころの深いところで、感じていたものがあった。
今でも、考え続けているように思う。

この方はデイサービスに通っている。
ある時、お大事袋をデイサービスに持参された。
このようなことは今までなかったので、
職員が「どうして持ってきたの」と訪ねた。
この方が家に置いていたら、中身がなくなると話された。

話された後に、この方は、他人に話したことに
強い自責の念をいだかれたようだ。

自宅から出て、歩き回り、そして最後に転倒されたのだ。

私はこの話を電話で聞き、その方の顔を思い、
心を思った。
なんと心の美しい人だと思った。
そして、心と身体の苦しさを、慮った。

ベッドの脇で、「苦しかったね」というと、「苦しかった」と話される。
「からだを治そうね」というと、確かに頷かれた。

私は手を振って、病室を後にした。

私は深く感じているのは確かだが、ことばでは考えていない。
感じていることが、どこにいくのだろうか。
今の私にはわからない。

※内容は一部、変えています。


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2 コメント

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相手と向き合う仕事 (bonn1979)
2008-01-25 20:53:01
私などは
普段から知識の切り売り。

・大井先生の話(臨床医)
・後見人をしている社会福祉士の院生
からも
ここに書かれているような話を読み、聞きました。

「拝まれる」
には、拝まれる方にもそれだけの心のつながり
があったということだと思います。

教師の場合は
お金がなくて中退した学生とか
心の病を教室で告白した学生とか
間接的ですが
いつまでも心に残っているケースがあります。

それにしても
いつもながら
文字化しにくいことを
表現される岩清水さんの文章力に敬服しています。

多くの読書、思索、出会い、そしてにブログ
によって培われたものと拝察するしだいです。
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コメントありがとうございます。 (岩清水)
2008-01-25 23:16:24
コメントをいただきありがとうございます。
私はbonn1979さんの誠実さや素直さに感銘を受けることが多くあります。「今」と「これから」を大切にされる姿勢を見習いたいと思います。
ブログを書き続けることは、日記を書くのとも違いますね。記事を書いて送信すると時に手元を離れたという感覚があります。手元から離れる文章に価値があるかどうかではなく、文章を手放すことを繰り返すことに何かがあるのかもしれませんね。
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