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岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『聖なるイチジクの種』 モハメド・ラスロフ監督作品

2025-03-25 06:26:09 | 映画・DVD 

 

3月23日に行われた想田監督の『ノー・アザー・ランド』「シネマ放談の会」でも取り上げられたのがこの『聖なるイチジクの種』でした。

監督を始め私の友人も全員が「傑作!」と絶賛していました。

観ないわけにはいきません。連日のシネマクレール通いとなりました。

3時間という長編映画です。

考えをまとめようかなと思っていたところ『侍タイムスリーパー』がアマゾンプライムで放送されていました。

つい観てしまいました。

しまった!

頭の中が上書きされてしまった(-_-;) 

『侍タイムスリーパー』もみごとな映画(自主製作)です!

でもこれから書くのは『聖なるイチジクの種』のお話です。

記憶がなくなる前に書いておきたいと思います。

 

この映画は24年ドイツ・フランスの作品です。撮影はイランです。モハメド・ラスロフ監督です。

今のイランで撮影できるのかと思ってしまいます。実際大変だったようです。

ホームページに以下のように記載されています。

第77回カンヌ国際映画祭で、【審査員特別賞】を受賞した本作への12分間に及ぶスタンディングオベーションには、驚愕と感動、熱いリスペクトなど賞賛のすべてが込められていた。喝采を浴びたイラン人監督モハマド・ラスロフは、自作映画でイラン政府を批判したとして8年の禁固刑とむち打ちの有罪判決が下っていた。まさに命を懸けて本作を世界に問うため、28日間かけてカンヌの地にたどり着いたのだ。
本作は、22年に実際に起き社会問題となった、ある若い女性の不審死に対する市民による政府抗議運動が苛烈するイランを背景に、家庭内で消えた銃をめぐり変貌していくある家族をダイナミックかつスリリングに描きだす。家族に疑惑が生まれたとき、物語は全く予測不能な方向へと加速する——。一瞬も目が離せない167分。

 

映画の中には、イラン国内で撮影されたと思われる映像が大量にあります。

当局から許可されるわけはありません。撮影者を特定されないためにリモート撮影などが多用されていたそうです。

それでも非常にクオリティが高い映像になっています。出来過ぎていると思うほどです。

映画の中には、スマホで隠し撮りされたと思われる映像が効果的に使われています。

ほとんどは市民の政府に対する抗議活動の模様です。

ネット上から集めたものでしょう。

 

主人公の一家は、父母と二人の娘です。

なかなか立派な集合住宅に住んでいます。

父イマンは政府の司法当局に勤務しています。

20年務めて調査官にまで昇進しています。高級官僚です。

 

冒頭にイマンが上司から短銃を受け取るシーンがあります。

今までになかった銃保持は彼が反政府側から狙われる役職になったことの証です。

反体制派の学生や社会人が数多く逮捕されており、それをろくに調査することなしに刑を確定する業務です。

一日200人もの刑を確定ということから、いかに「杜撰な法の番人」であるかわかります。

そのような仕事にへとへとになって帰宅します。

 

一方、妻メジナは献身的に夫を支え、娘たちを育てます。とても管理的です。これがイランでは普通でしょう。

屋外では、ヒジャブ(スカーフ)が義務です。

長女は大学生です。母親からは他の学生とは接触するなと言われていますが干渉を嫌がっています。

イマンは家や家族のことは妻任せです。

そんな中、大学の反政府運動に友人が巻き込まれ顔面の傷を負ってしまいます。

長女は傷ついた友人を自宅に匿います。救急対応です。

しかたなく母親が治療します。

散弾銃のような小さな玉を一つ一つ取り除いていくメジナ。失明もしており彼女の未来は閉ざされました。

この長女の友人は病院に行かざるを得なくなり結果当局に連れ去られます。

 

それから数日後に父親が自室のチェストにいれておいた銃がなくなります。

イマンは家族を疑うようになります。

娘たちの部屋も探します。もちろん出てきません。

 

イマンは悩み抜いて上司に相談します。

銃紛失は懲役3年と言われます。当然出世はなくなります。

上司は、銃を探そうではないか、娘たちの調査をしたい。

コンサルティング程度の簡単なこのだと説明すればいいと説得します。

この調査は実際は尋問だったのです。

そのシーンがとてもリアルで恐ろしい。

父親のイマンの信用は家族の間ではなくなります。

 

さらに、あろうことかイマンの個人情報がネットに晒されてしまいます。

上司は護身用の銃を新たにイマンに渡します。

イマンは反政府派から見張られ追跡されることとなります。

ここまでが前半です。

後半に続きます。

 

ホームページに掲載されたストーリーは以下です。

ある日、家庭内で1丁の銃が消えた——。
市民による政府への反抗議デモで揺れるイラン。国家公務に従事する一家の主・イマンは護身用に国から一丁の銃が支給される。しかしある日、家庭内から銃が消えた——。
最初はイマンの不始末による紛失だと思われたが、次第に疑いの目は、妻、姉、妹の3人に向けられる。誰が?何のために?捜索が進むにつれ互いの疑心暗鬼が家庭を支配する。そして家族さえ知らないそれぞれの疑惑が交錯するとき、物語は予想不能に壮絶に狂いだす——

 

お読みいただきありがとうございました。

 

ウクライナとガザに平和を!

イランに人々に自由を!


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