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金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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白銀の翼(バンパイア)38

2011-05-22 10:10:39 | Weblog
  牟礼寺の住職だという田原龍一の射抜くような鋭い目を、
毬子は正面から受け止めた。
何の魂胆があって現れたのだろう。
丸腰なので、ここで斬られる恐れこそないが、不気味なのには代わりがない。
どうすればいいのか対処の仕様が分からない。
 ヒイラギが言う。
「油断だけは怠るな」
 サクラが、「ヒイラギも私のように触手が使えればいいのにね」と。
 毬子はサクラの触手が動くのを感じた。
目には見えないが、今まで自分に無数に絡み付いていたものの一本が、
風に煽られたかのように田原へと向かって行く。
どうやら毬子を足場とし、田原に触手の橋を架けるつもりのようだ。
 毬子は田原との空間に微妙な空気の振動を感じ取った。
サクラが相手の脳内を覗いているらしい。
 そのサクラがヒイラギを誘う。
「ヒイラギ、私の触手を捉えられるのなら、それを伝わっておいで」
 躊躇するヒイラギ。
それをサクラが笑う。
「生きる武神であったにしては臆病だね」 
 挑発されたヒイラギの怒りが伝わる。
言い訳もせずにサクラの触手を捉えた。
が、それからが難しい。
己の触手を生み出せない。
 そもそもがヒイラギとサクラは別物。
神社の清浄な空間で育まれたサクラ。
みんなの願いが集まって言霊と化し、精霊サクラとなった。
 対してヒイラギは、本人曰わく、
「幼き頃より武人として育てられ、餓鬼時分は喧嘩三昧。
馬を与えられてからは戦三昧。
どれだけ人を殺めたことか。
気付いたら自分も戦場で死んでいた。
まことに血塗られた人生であった」。
 この世に怨みを残した者が怨霊と化し、現世に踏み留まり人に悪さをする。
それらは悪霊の類として一括りにされるのだが、
サクラによるとヒイラギは奇妙な霊なのだそうだ。
「怨霊とは一味違うわね。まるで招魂された霊のよう」とか。
 あの時、毬子は疑問に思い尋ねた。
「招魂と言えば、霊の呼び戻しよね。誰かが呼び戻したというの」
「そうとしか考えられない。
でも招魂術を使った者が未熟だったのか、別の場所に呼び戻されたみたい」
「それで私の中」
「たぶん、だけどね」
「この先、ヒイラギはどうなるの」
「私は術者じゃないから分からない。
でも毬子、アンタはヒイラギの同居は嫌なの、それとも好きなの」
「そんなの分からないわよ。気付いたら居たのだから。
今では居るのが当たり前に成ってるわ」
「そうよね。成るようにしか成らない。それで良いかもね」
 黙って二人の話を聞いていたヒイラギは、己の感情が動いたにも関わらず、
何の感想も言わなかった。
 今もヒイラギは何も言わない。
怒りながら、
己が内からサクラの触手に似たものを生み出そうと四苦八苦していた。
 サクラが助け船。
「一点に集中するの。
私の触手が分かるのなら、それを両手で掴むイメージ」
「イメージか」
「そうよ。
私達は両手両足がないから、それがあるイメージで触手を作り出すの。
イメージで手を足を、ついでに翼も。イメージを具現化するのよ」
「翼か、それは良い」
「アンタには百年早いわよ。まずは指から初めて。指が揃えば手になるわ」
 会う度に憎まれ口を叩く二人だが、心底から嫌ってはいない。
サクラが助言すれば、それをヒイラギは不器用に受け入れる。
これが大人というものなのかも知れない。
 鋭い田原の両目が泳ぐ。
二人の傍を通り過ぎる生徒達の関心を引いているのに気付いたからだ。
別の学校の生徒でも、毬子を見知っている者は多い。
挨拶をする者。会釈して過ぎる者。
そのほとんどは女生徒。
 そんな田原を毬子は笑う。
「女生徒は苦手なの」
「一人や二人なら平気だが、群れともなると怖いものがある」
「怖いなんて酷い言い方ね」
 田原が頭を搔き、苦笑い。
辻斬りにしては人懐っこい表情をするではないか。
「・・・群れると苦手かも」
「そう。
大事な話なの。長くなるなら場所を変えてもいいけど」
「そうしてくれると助かる」
「駅前のカラオケはどう」
 サクラの、「こいつは見かけと違い無害よね」という言葉を信じて、
毬子はさっさと駅に向かう。
 慌てて田原が隣に並ぶ。
「俺に背中を向けて大丈夫なのか」
「私はゴルゴ13とは違うわよ」と毬子。
 漫画の主人公、ゴルゴ13は依頼人との商談では、
けっして依頼人に背中は見せない。
 その返答が気に入ったのか田原が吹き出す。
「そうだった。太刀筋は鋭いが、町中では普通の女生徒だった」
 こうして肩を並べると、改めて相手の高さを認識した。
自分よりも頭一つほど高い。
加えて威圧感が伴い、只者でない事が推し量れた。
とても僧侶とは思えない。
 野上家で何年か振りに遭った刑事、池辺康平も同じ位の身長だが、
身体から醸し出す空気が違う。
陰陽に例えれば、田原が陰なら池辺は陽。
田原が辻斬りを続けるのなら、きっといつか両者は立ち合うだろう。
 駅前ロータリーの十二階建て。
二、三階部分がカラオケ店になっていた。
 二階の白い内装の個室を選んだで入った。
天井で小さなミラーボールが回転し、ブルーのライトを反射していた。
ガラステーブルを挟んで二人は腰掛けた。
「お坊さんもカラオケに行くの」
「行くよ、キャバクラ、ソープ。何でもどこでも。
普通の暮らしを知らなくては信者に説教が出来ないからね」
 毬子は言葉を改めた。
「どうして辻斬りしたの」
「直球だね」と田原が目を見張った。
それでも話題を嫌がる様子はない。
「色々あってね。それで罰した」と簡単に答えた。
「理由は言えないの」
「彼等に罪があったからだ」
「だからと言って」
「最初に殺されたのは、こちら側の人間だ。
死体は見つかっていないが、仕掛けた盗聴器で海に沈めたのは分かっている」
「警察に届ければ良かったでしょう」
 田原が毬子を見直した。
「警察・・・。そんなものに頼る必要はない」
「殺されたから殺し返す。何だか暴力団みたいな話しよね」




日中韓首脳会談に先立ち、中韓首脳が被災地入りしました。
素直に見れば良いのでしょうか。
それとも中韓に借りが出来たとでも・・・。
でもまあ、菅サンの被災地入りよりは素直に見られます。
何故なんでしょう。
 その中国首相がSMAPと面会したとか。
だからだったんですね。
昨日、中国大使館や韓国大使館とは反対方向の神田で、
妙な警備態勢が取られていました。
それも滅多に見られない場所で。
たぶん、SMAPとの面会場所の都合だったんですね。

 それにつけても、与党内反主流派の「菅下ろし」、
野党の「菅下ろし」、参院議長の「菅下ろし」。
そして菅サンの延命工作にしか見れられない言葉のパフォーマンス。
淡水魚も放射能汚染しているというのに、政治のこの体たらく。
生活に困らないから政治遊戯が出来るのですね。
なんてこったい。
どうやら日本政治は、外国のみならず自国民とも離れて、
「ガラパゴス化」しているようです。

国会の
またの地名は
ガラパゴス

政界の
メルトダウンを
望みます
えっ しているって
そうか そうなのか




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