高校公民Blog

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あなたは誰? 映画『嘘を愛する女』

2018-09-29 21:40:38 | 映画・演劇・ドラマ

ちょっと前に、『嘘を愛する女』という映画がやってましたが、ご覧になりましたか。余計なことですけど、もう、TSUTAYAで新作レンタルしてます。

 この話、意味深です。ふつう、これ、男と女が逆なんです、話としては。
 長澤まさみ演ずる女性・川原由加利はキャリアウーマンです。高橋一生演ずる男性・小出桔平は彼女の部屋にひょんなことから共同生活することになります。ご覧になってない方がいて「見たいと思っているのに!」という方のために、以下、話を省略していうと、それから5年間がすぎるんです。ある日、彼は、約束の時間に来ません。で、由加利(長澤)が自分の部屋で待っているんです。ドアをノックする音がするんです。

「桔ちゃん?」

とドアを開けると、そこには刑事がいるんです。で、お宅の同居人は意識不明で倒れていました。免許証があるんですけど、全部嘘です。と、なるのです。「ええっ?!全部嘘??」

それから、由加利は、桔ちゃんの本名とか、何者なのか、とか探し始めるんです。もう、わからなくて、吉田鋼太郎扮する探偵まで雇って。

もちろん、最後に突き止めていくんですよ。正体を。で、最後に意識不明だった桔ちゃんが目覚めて、エンドなんです。多分多くの人が「えっ?!これでおわりなの?」って思うと思います。でも、終わりなの!

この映画は男と女が共同生活することの、避けることができない不条理みたいなものを描いているように思えました。かっこよくいうと、私たちは、そこにどうやって挑んでいくか?映画は、まるで、その答えがないかのように、いえ、現在、みつかっていなくて私たち一人一人が手探りするしかない、といっているかのように思えました。



この映画のタイトルの『嘘を愛する女』も「あなたは誰?」も同じ意味のように見えます。この写真、一見何の変哲もない風景です。でも、これが、問題なんです。僕も、身につまされるんです。

 昭和を長く生きた方なら、『家族ゲーム』という松田優作主演の映画があったのを記憶していると思います。あの映画で家族が横並びに食事をするシーンが話題になったんです。ながーーーい、テーブルに電線に鳥がとまるようにご飯食べているんです。つまりね、一家団欒なんてなくなっちゃっていて、みんなお互い無関心のまま食卓を囲んでいる、ってことなんですよ。

 このふたり、会話をし、楽しい食事もしていたはずだったんです。ところが、特に長澤さんの方がポイントなんですけど、じつは、仕事が忙しくて、忙しくて、となりにいる「桔ちゃん」のことなんか、見ていないかったんです。

 生活の残酷さですね。生活はそういうものです。共同生活をするということは平凡で、ありきたりで、せわしなくて、きまりきっていて、・・・ま、そこまで悪くいうこともないか・・・でも、気づくと、そこには、本当は誰だかわからない人が、いたんです。いや、いつのまにか、誰だかわからない人と生活していたのです。相手を見ていなかったんです。全部嘘って、象徴的ですね。

この映画では、連れ添っている人が倒れてはじめて、この人は誰、と気づくのです。たおれないまま長年連れ添った挙句、子供が育ってバイバイという夫婦を僕もみてます。

 隣にいるパートナーの視線がどこに注がれているのか、その風景がどんなものなのか、相手が倒れでもしなければ、知ることはできないのか?そもそも知ろうという気持ちさえ奪ってしまう日々の生活とは何なのか?


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