自民党改憲案 1.天皇中心の国家へ
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「憲法をまず改正していく。自民党は憲法改正草案を決めている」。こう公言する安倍晋三首相のもとで、昨年4月にまとめられた自民党の改憲草案が改めて注目されています。<o:p></o:p>
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「国防軍」創設など、安倍改憲政権の狙いが明確に示されているからです。その中身を検証します。
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弱まる主権在民
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「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇をいただく国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立にもとづいて統治される」<o:p></o:p>
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自民党・日本国憲法改憲草案の「前文」の一節です。「国民主権」や「三権分立」という言葉はありますが、なにより、日本の国の根本的なあり方を「長い歴史と固有の文化」に基づく「天皇を戴く国家」とする立場です。<o:p></o:p>
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前文の最後の一節は「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」という言葉で締めくくられています。<o:p></o:p>
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天皇中心の「伝統」と「国家」の継承を憲法制定の根本目的とするという表明です。<o:p></o:p>
重大なことは「歴史」「文化」「伝統」を介して、戦前との継続性を前提にしていることです。<o:p></o:p>
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これに対して、日本国憲法の前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し・・・政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」という一文から始まります。<o:p></o:p>
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ここには、主権在民の原理を表明し、それを代表を通じて行使する代表制民主主義、そして戦争の惨禍から国民を守ろうという決意の表明があります。<o:p></o:p>
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国民が主体となって憲法を制定し、国家権力を制限するという立場が明瞭に示されているのです。<o:p></o:p>
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日本国憲法のように、人権保障のために憲法によって権力を制限する(立憲主義)ことが近代憲法の本来の目的です。<o:p></o:p>
国民が権力を縛るための命令が憲法なのです。<o:p></o:p>
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ところが自民党が振りかざす憲法改正草案は『天皇中心の国』を継承するために、国民を『統治』することを目的としています。憲法の意味を180度転換させるものです。<o:p></o:p>
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この逆立ちした立場は前文だけではありません。第一章の天皇条項では、「天皇は日本国の元首である」と明記(第1条)。戦前の天皇絶対の時代への反省から、「国政に関する権能を有しない」とした憲法の規定を変えようというのです。
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国民に尊重義務
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また「国旗は日章旗とし、国家は君が代とする」(第3条)とし、「日本国民は国旗、国歌を尊重しなければならない」と、国民に国旗・国歌の尊重を強制。元号規定創設(第4条)し、皇位の継承にともない新たな元号を制定するとしました。<o:p></o:p>
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2005年にまとめた「新憲法草案」にもなかった保守・復古の本質をむき出しにした内容です。<o:p></o:p>
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自民党改憲案では、公務員の憲法尊重擁護義務を定めた99条から、新たに「元首」と位置付けられた天皇と摂政を削除する一方で、「国民の憲法尊重義務」を加えました。<o:p></o:p>
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現行憲法は、公務員の憲法尊重擁護の義務を明示していますが、国民にはその義務は課されていません。99条は、国民が国家に対して設ける制限であることを示す規定です。<o:p></o:p>
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ところが自民党改憲案は天皇中心の文化と国家の維持・継承を、国民に義務付けるものへと逆転しているのです。<o:p></o:p>
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つづく・・・<o:p></o:p>
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