厚生労働省の調査でも、「特別条項」つきの三六協定を結ぶ大企業は62・3%に達し、その1カ月平均は79時間44分です。
「特別条項」による限度時間いっぱいで労働者を働かせている企業ばかりではないでしょう。しかし、月80時間の残業という過労死基準を超える協定が、そもそも許されるのでしょうか。
過労死の危険は、残業時間が長くなるほど高まります。東京地裁は昨年、月80時間未満の残業時間であっても過労死と認定しました。
深刻な社会問題となっている「ブラック企業」を解決するためにも、早期に労働時間の上限を決めるなど規制することが必要です。
しかし安倍政権は、「残業代ゼロ」制度の導入などによって、さらなる長時間労働のおしつけをねらっています。
昨年6月の閣議決定にもとづいて、現在、労働政策審議会の労働条件分科会で、裁量労働制の見直しなど、労働時間法制の検討が進められています。
その一方で、政府の産業競争力会議と規制改革会議が労働時間規制の見直しを求める提言を相つぎ発表。いずれも労働時間の規制を撤廃し、残業代などを支払わなくても労働者を働かせられる制度へと改悪することを求めています。
なかでも、産業競争力会議「雇用・人材分科会」が昨年12月に出した中間整理は、「『時間に縛られる』働き方からの脱却」を表明。「労働時間の長さで成果を測り、賃金を支払うことは…現状や実態に見合わない」として、「弾力的な労働時間制度(時間で測れない創造的な働き方ができる世界トップレベルの労働時間制度)を構築する」ことを掲げました。
労働時間と賃金という密接不可分のものを分離して、残業代をゼロにしながら長時間労働をおしつける制度です。
第1次安倍内閣で失敗した「残業代ゼロ」「過労死促進」の「ホワイトカラー・エグゼンプション」と同じねらいをもつものです。
すでに長時間残業が常態化しているもとで、こうした制度が導入されれば、「ブラック企業」の規制どころか、日本企業の「総ブラック化」を加速させることになります。
(行沢寛史)
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大阪3区国政対策委員長 住之江区市政対策委員長
わたなべ結 つじい大介
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