天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

東京マラソン考

2017-02-27 05:37:13 | スポーツ


きのうNHKの「日曜討論」からチャンネルを変えるといきなり黒い大きい選手たちの集団が映った。
東京マラソンである。
5キロを14分31秒というとてつもない速さで通過したところであった。トップ集団はみな同じような顔をしていて速い。
こんなに大勢来て日本人をいじめなくていいじゃないかと思っていたら3人がペースメーカーであった。

ペースメーカーは結局2時間3分台のすごい記録で優勝したキプサング選手の引立て役をつとめたことになる。
けれどこれほど傑出したランナーにペースメーカーなんて要るのだろうか。彼は世界記録のラップを体で感じ取ることのできるランナーである。
いや、そもそも、マラソンにペースメーカーなんて要るのだろうか。
ペースメーカーは記録向上を意図した装置といった認識でいいのだろうか。ならば、同じとき行われた車椅子マラソンにペースメーカーはいたっけ。いなかったように思う。

瀬古選手や宗兄弟のころペースメーカーなんていなかった。それでもおもしろくてテレビ観戦した。
瀬古選手と3回ほど戦った選手にイカンガーがいた。イカンガーは常に先頭を走りそれにぴたっと瀬古がつけて最後に差して勝つということが多かった。イカンガーは気の毒で瀬古はセコイなあと感じていたが、いま思えばイカンガーは瀬古のペースメーカーであった。
けれどイカンガーにトップ引きをして損をした、という気持ちがあったのだろうか。
性格や脚質はいかんともしがたい。それでいいのではないか。

ペースメーカーでほかに疑問を感じているのが競輪。競輪におけるペースメーカーを「先頭誘導員」という。
現在の競輪競走は全て「先頭固定競走」といって、先頭誘導員がレースの序盤から中盤にかけて走者を誘導するルールになっている。
この先頭誘導員は余り早く追い抜いてしまうと失格になってしまうので、ルールに定められた場所までは先頭誘導員を追い抜くことができない。
昔は先頭固定競走ではなく、ヨーイドンで出たらどんなふうに走ってもよかったそうだ。けれど先頭を行く選手は風の抵抗を受け不利を被り、ついてきた選手に交されてほとんど負けた。それで先へ行きたがらない。
それでペースメーカー出来となったらしい。

わかるけれど自由に走ったらどうなるか見てみたいのである。
競馬にはペースメーカーの馬はいない。ときに先に立ちたくない馬ばかりでぐずぐすしたレース展開になるがそれはそれでおもしろい。速いだけがおもしろいわけではないのである。
瀬古とイカンガーの闘いは2時間8分レベルであり今のキプサングのレベルからみると5分も劣るが速く感じた。記憶のなかではとてつもなく速い。イカンガーは機関車みたいで好きだった。

はやい話、黒い影武者集団が跋扈する画面をあまり見たくないのである。
瀬古さんがイカンガーに勝てたのは当時アフリカに走る文化がそうそう根付いていなかったせいか。走ることで世界に自分を誇ることができるとの自覚をしかと持った選手がアフリカにどんどん増えて今後もっとマラソン界を席巻するだろう。
選手もペースメーカーもすべてアフリカ勢の黒い影武者集団が走り回るのだろう。





車椅子マラソンは見ていて辛い。
走り終えた選手たちの腕と背中はバリバリに張ってたいへんではなかろうか。
1月に穴を掘る、土をさくる、ウドを植える、ツツジを引っこ抜くという仕事をした。廃棄する本棚を鋸で切って小さくする作業もした。その結果、左肩甲骨周辺がバリバリ張ってしまい、先日優秀な鍼灸師の施術を受けてやっと楽になった。
屈んでする作業の辛さの象徴が車椅子マラソンだと思った。みなさん、ご苦労さま。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 誕生日の中央例会 | トップ | 川柳は密林の呪いである »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

スポーツ」カテゴリの最新記事