天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

母は孤立して子を虐待する

2021-08-28 07:19:44 | 世相


InternetExplorerの読売新聞(2021/08/27)に
「子どもへの虐待、初の20万件超…ステイホームで家庭内の衝突も一因か」
という記事が出た。
全国の児童相談所(児相)が2020年度に対応した18歳未満の子どもへの虐待件数は、前年度比6%増の20万5029件(速報値)で、初めて20万件を超えたことが27日、厚生労働省の集計で分かった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「ステイホーム」で家族が一緒にいることが増え、家庭内の衝突につながった例もあると同省はみている。
同省が全国の児相(220か所)で対応した虐待件数を集計した。前年度より1万1249件増えており、統計を開始した1990年度以降、30年連続で増加。15年度(10万3286件)からの5年間で倍増した。

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嬉しくない事態である。当然、虐待はあってはならぬことであると思うが、うら若き母が虐待に及ぶ気持ちも充分理解できる。
それは小生が人生ではじめてまともに育児に関わったから母の気持ちがわかるようになったと思う。
本来なら二男家族とは独立してこちらは悠々自適とやらで生きたかったのだがさまざまな理由で二世帯同居家族となった。同居するとしょっちゅう子どもが俺のところへ来る。
一応営業時間は7時~12時、18時~19時としているがそんな区切りを子どもは簡単に踏み越える。いまは13時~15時まで昼寝も担当するし何でもこなす。
妻も育児・家事をし、息子の嫁は新生児に没頭し、それはそれで忙しそうである。つまり二人の子を見て家を維持するのに大人三人がフル回転している。
これを核家族で母一人がこなすのはものすごいことだと思う。すごく優秀な人でも労働量の多さと精神的な負担と、社会から隔絶した孤独感はいかばかりかと思う。その鬱憤が子どもに向かうのは自然の流れともいえ、認めてはならないが、理解の及ぶことである。同情してしまうのである。

自分の母はどうであったか。
農家の嫁であったからものすごく大変だったと思う。義父、義母がいて父の弟がいた。子どもはぼくのほかに二人いた。家事と育児をしながら農作業もそうとうやった。したがって手の行き届かないのは当然であった。その最たるものは洗った洗濯もの(下着類)が父と子どもたちと全部一緒に大きな段ボール箱に入っていたことである。ぼくらは下着を共有していたのではないか。
母が野良仕事に参加できた背後に祖母がいたと思う。2~4歳の記憶はないが祖母がぼくを見なかったら母は野良へ出られなかったであろう。田んぼの隅で箱に入っている子どもの写真はぼくらのうちの誰かで、それは祖母の手が及ばなかったときであろう。田んぼの隅を見ながら稲を刈ったのかもしれない。
母は大変であったと思うが孤立していなかったであろう。父に愛され祖父や祖母から可愛がられていた。ぼくらも。

タゴール暎子は日本の上流家庭に育ち、インドのバラモン階級の家に嫁いだ。詩人タゴールを輩出した家系である。彼女の書いた『嫁してインドに生きる』には、「ジョイントファミリー」が出てくる。
つまり瑛子さんの嫁ぎ先は複数の世帯が集合して一家をなしていた。家事、育児を担当する雇い人がいてさらに大勢で家を営んでいた。
ここまで人が多いとプライバシーもへったくれもなく、これはこれで大変であるが、いまの日本の、特に都市部の一家3~4人体制というのは人が孤立しやすい仕組みではないか。個人尊重路線のなれの果であるが個人はそう強いものなのか。人は人を助け、人から助けられてやっと人は尊厳を得て前へ進むことができるのではないか。
子どもの虐待、それはあってはならないが、そうなる仕組みもなんとかしないとこれに根本的に対処できないのではなかろうか。
母が孤立しないように、母が社会から評価されることが切に大切である。育児をやってみてわかったことである。




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