写真・石田順平(スポーツ報知/報知新聞社)
東京オリンピック最終日、大迫傑選手は見せてくれた。メダルには届かなかったが35キロあたりまで先頭集団にいて見せ場をつくった。それまで集団のやや後方にいて姿が確認できなかった。アナウンサーが集団にいるというのでそうかと思っていたら38キロあたりで集団がばらけて確かに彼がいた。
8位から2人抜いて6位に上り見せ場をつくった。さらに100mほど前方に2位から5位の選手たちが見え、われわれに届くかなという期待を抱かせてくれた。しかしその距離は山頂で空の雲をつかむようなことであった。見えていて永遠の遠さであったが、俺はやったんだということを十分見せてくれた。
服部勇馬は20キロまで先頭集団にいたからよしとして、中村匠吾は約3・5キロで先頭集団から遅れてしまった。
競馬で「テレビ馬」という言葉がある。
出だしトップで逃げて中盤以降馬群にしずむ馬のことである。バカにした表現なのだがテレビ馬で結構だと思う。馬も人間も走るならどこかで見せ場をつくってほしい。落ちてもいいからテレビいっぱいに15分ほど映ってくれ。中村選手も先頭集団にいようとしてできなかったのだろうが。
世界記録(2時間1分39秒)保持者キプチョゲの強さは異次元であった。28キロでペースアップ。さらに30・5キロでスパートした。キプチョゲは30キロから35キロを14分28秒へ大幅にペースアップ。オリンピック2連覇を果たした。超人である。
何を食っているのか、どんなトレーニングをしているのか密着して報道してほしい。