昨日は蒸し暑くて、昼に突然夕立が来るような変な天気だった。
難波の松竹座の3時半ころ、まだまだ暑さの真っ盛りで、街は相変わらず、凄い人混みでごてごてと賑やかだった。
遠くても京都の南座の方がやはりいいかなと思いながらも、どうにか松竹座に到着した。
夜の部の出し物は、何と4つもあり、4時から8時50分までの長い公演である。
『沼津』『身替座禅』『真景累ケ淵』『女伊達』と言う、それぞれ色合いの違う出し物であった。
『身替座禅』(みがわりざせん)は奥さんが怖いお殿様の話で、それでも浮気相手の女性の所へ行きたくて、自分の身代わりをたてて座禅をさせて、愛人の元へ行く。
だが、それがばれて、奥方にこっぴどくやられるという筋書き。
歌舞伎の舞台で演じられると、そんなドタバタも、なかなかの妙味があった。
仁左衛門のお殿様は浮気者らしくゆらゆらした気持ちを全身で表現していて、色っぽくて魅力的だった。
奥方は夫をいちずに愛し、夫の行動を厳しくチェックし怖いのだけれど、…2人共が何だか可愛くて…おかしくて…
そして、次の『真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)』も女性のやきもちの話であった。
浄瑠璃の富本節の師匠、豊志賀は顔にできた腫れ物で寝込んでいて、20歳も年下の内弟子を愛するあまり、嫉妬に狂っている。
そして、ついに死んで、幽霊になって出てくるという何とも おぞろおぞろしい話だった。
どんな下世話な話でも、歌舞伎役者が、その磨かれた技で演じると、思わず息をのんだり、驚嘆したり、心がふわ~っと膨らんだりする。
やはり、歌舞伎って凄い!!
もともと、歌舞伎フアンと言うわけでもないのだが、他の演劇とは違う、磨きつくされた舞台の凄いエネルギーを感じる。
それに、常に舞台には和楽器のオーケストラが付いている。
浄瑠璃や常磐津や長唄や…私にはあまり聞き分けはできないのだが、多分、生まれつき脳の中に浸み込んでいるに違いない日本の音楽の力も、もの凄い!!
コープ神戸で、年に1,2回、格安のチケットが買えるとなると必ず行くことにしているのだが、歌舞伎の魅力にだんだん虜になってしまいそうである。
木莉
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