3日前の土曜日、文芸の会で桜木紫乃著『ホテルローヤル』の読書会をした。
今、とっても人気の直木賞受賞作である。
西宮市の図書館では、今、700人ぐらい予約待ちの人がいる。
さすがに、うまい書き手で、短編が7つ集まった形になり、現代から数年ずつ過去にさかのぼっていきながら書かれている。
1つ1つの作品はつながっていないようでいて、実は最後の作品に導かれてゆくように巧みに書きつながれてゆく。
ホテルローヤルはラブホテルだし、1つ1つの短編に登場する人物は、たいていが貧しくて忙しかったり、少々生臭かったり、親から見捨てたられた高校生や妻と上司から裏切られ続けている教師や、あまり、幸せそうな人物は見当たらない。
私の感覚としてはこんな世界の話は好まないし、感情移入できそうな女性たちも登場してこなかったのだが…
読み終えた後で、ため息とともに何だか心の中に後を引くものが残った。
自分や自分の周りには、あまり見当たらない主人公たちのことが、やはり何だか気にかかってくる。
ホテルは釧路湿原を見はるかす場所に建てられていて、私は釧路に行ったことがないのだが、その湿原の様子も気になる。
私は全部読み終えたので、この本を西宮の図書館に寄贈しようと思っている。
木莉