けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

中国に別の意味の正しい歴史認識を突きつけろ!

2014-02-27 23:57:39 | 政治
最近、中国・韓国による歴史問題攻撃が過激さを極めている。今日はその様な歴史認識問題に対する対処法について考えてみたい。

まず、日本での報道では、安倍総理の靖国参拝は世界的に見れば「完全に逆風」という報道が多いが、それはそれで事実として認めた上で、過剰に反応すべき話ではない。昨日の新聞に下記の記事が載り、如何にも「大事だ!」と騒いでいるようだが、実際のところはどうだろうか?

産経ニュース2014年2月26日「安倍首相の歴史観に懸念 米議会報告書『米の認識と衝突する危険性』

日本国内では他の新聞でも色々と取り上げられているが、では海外での反応はどうなのだろうか?ウォール・ストリート・ジャーナル、ロイター、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど英字の新聞をザクっと探した感じでは、現地では全くこのネタで盛り上がっている気配はない。日本の記事を見ると、「首相が米国の忠告を無視し靖国を突然訪問したことは両政府の信頼関係を一定程度損ねた可能性がある」「安倍晋三首相の歴史観は第2次大戦に関する米国人の認識とぶつかる危険性がある」など、これまで散々紙面をにぎわせていた内容をそのままなぞるだけなので、全く目新しいところはなく、米議会調査局の報告書という部分だけが新しい。過去にも類似の報告書が話題になったことがあるが、アメリカという国はリスクに対して非常に敏感な国だから、特定の立場に立つ人からの報告のみを鵜呑みにせず、様々な立場からの報告を玉石混交状態で集めまくり、その中から精査して有益な情報をピックアップする習慣がある。その過程で紛れ込んだひとつの資料であり、海外メディアが反応しないのはその様な意味合いで取り敢えず作成された「取るに足らない資料」と判断されてのことだろう。
安倍総理にとっては、少なくとも順風ではなく逆風であるのは確かだが、では中国や韓国の主張が認められているかと言えばそうではない。先日のニュースで、中国の習近平国家主席が今年の春に予定しているヨーロッパ訪問の際に、ドイツでホロコースト記念館などの施設の訪問を行い、ドイツの戦後処理と日本の戦後処理を対比させて、大々的に反日プロパガンダをアピールしようとしたところ、ドイツから即答で拒否されたという記事があった。

Reuters 2014年2月25日「アングル:中国が『反日宣伝』を強化、習主席訪独で第2次大戦に焦点か

中国的には日本とドイツを比較して、ドイツの歴史認識を持ち上げているつもりなのかも知れないが、どうやらドイツ人にとっては迷惑この上ない不快なことの様である。さらに言えば、日中の対立に巻き込まれるのは更に迷惑で、嫌悪感さえ抱いているという論調であった。
最近の中国の歴史問題の取り上げ方を見ていると、明らかに戦勝国気分に酔った感じが読み取れる。しかし、それはドイツに限らず多くの国々に嫌悪感をもって受け止められている様である。この辺の事情を少し見て行きたい。

実は来年という年は第2次世界大戦終結70周年記念の年に当たる。この70周年というのは何とも中途半端で「何や、それ!」と突っ込みを入れたくなるところだが、中国などはそんな突込みにはお構いなしに、この70周年を政治的に利用しようとしているようだ。先日、森本敏元防衛相がBS朝日の激論・クロスファイアに出演して語っていたのだが、中国はこの第2次世界大戦終戦70周年記念をロシアなどを巻き込んで戦勝国(連合国)側で式典を大々的に開き、ここで日本を陥れようという計画を進められているという。森本氏は、常識的には中国以外の他国、アメリカは勿論イギリス、フランスなどは、この様な動きに賛同はしていないが、中には何も考えない人がいるので、注意して見守る必要性を説いていた。しかし、この様な注意深さは必要であるが、実際には中国の思惑とは異なる動きになると私は読んでいる。

実は先日のブログで荻上チキSession22の紹介記事を書いたが、このブログで書きそびれた内容の中で、アメリカ在住の冷泉彰彦氏が面白いことを指摘していた。というのは、アメリカという国が中国をどの様に見ているかを端的に示していることなのであるが、本来、中国は「戦勝国」ではないのに途中から割り込んできて、戦勝国という立場を「横取りした」というのである。横取りと言うのは穏やかではないが、実は同様のことをこのタイミングで青山繁晴氏も、昨日の関西テレビの「アンカー 青山繁晴の“ニュースDEズバリ”」の中で指摘していたらしい。と言うのは、ご存知のように連合国における中国側の司令官は蒋介石であり、つまり戦勝国は「中華人民共和国」ではなく本来は「中華民国」(台湾)であったはずであるが、毛沢東に権力闘争で敗れた蒋介石は台湾に逃げ、結果的に現在の中国は国連(すなわち「連合国」)の常任理事国の椅子を濡れ手に粟で手に入れたという訳である。しかし、これが意味することは、中国はあくまでも「国際連合」における「常任理事国」であるにすぎず、「連合国」における戦勝国のメンバであるとは(少なくともアメリカは)認めていないということである。

上述の第2次世界大戦終結70周年記念に関する一連の流れがこの後、どの様に展開するかは見ものであるが、私の予想(というか期待)は下記の様なものである。それは、お祝いをするのではなく、これを機会に第2次世界大戦終結を顧みてみようという動きが起きるということである。例えば、「カイロ会談」の参加者はチャーチル首相、ルーズベルト大統領、蒋介石であった。同様に、「ヤルタ会談」の参加者はチャーチル首相、ルーズベルト大統領、スターリン、「ポツダム会談」の参加者はチャーチル首相、トルーマン大統領、スターリン書記長であった。ここまで書けば分かるように、何処にも中華人民共和国の居場所はないのである。あるのはあくまで国民党を率いた蒋介石及び中華民国であり、中華人民共和国ではない。

森本氏の指摘でも、中国はまず最初にロシアと結託することを試みるということであったが、ロシアは(元々は社会主義、共産主義国として)ポジションが微妙であるが、少なくともプーチン政権下では中国とベッタリの関係ではない。ロシアのラブロフ外相はどうか知らないが、プーチン大統領はこれまでも歴史問題での共闘を持ちかけられても黙殺してきた実績がある。中国と国境を接し、国境の町に膨大な数の中国人が溢れ出し、あたかも中国の領土と化すような状況があることを直視したロシアのプーチン大統領が、この国境付近でのバランス維持を目的に日本を活用したいのは目に見えている。だから、プーチン大統領との関係が良好な安倍総理に対し、プーチン大統領があからさまに日本を陥れるような行動をするとは考えづらいし、東アジアのバランスを欠くような結果もプーチン大統領は望んでいない。

更には、世界的に日本の右傾化を危惧する動きは仮にあったとしても、極端に覇権主義を前面に押し出し始めた中国に対する危惧はその何倍にも及ぶ。だから、一方的に中国を利する行為にアメリカ、イギリス、フランスは勿論、ロシアでさえもが同調するとは考え難い。ウクライナ問題を見ているとロシアが欧米諸国と歩調を合わせることは考えにくいが、第2次世界大戦終結70周年記念を契機に、中国の思いが少なくとも他国とは異なることは明確になるのではないかと思う。その背景にあるのが、中国の「戦勝国」としての正当性の疑問である。

中国はこれまでの長きに渡り「歴史認識」を振りかざしてきたが、世界が逆に中国に「歴史認識」を振りかざすチャンスであるかも知れない。歴史を直視するという意味では、各国の政府がストレートに公言する必要はないが、例えばアメリカの政治家やマスコミが基点となって中国に対して「あなたは戦勝国ではない!」という暗黙の認識をぶつけることがあれば、それに同調する流れが生まれるかも知れない。それを日本が言い出すと角が立つのだが、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアの方からカイロ会談、ヤルタ会談、ポツダム会談の経緯を引用しながらこの主張の正当性をアピールすれば、中国はぼやくことはできても、論理的に反駁することはできない。中国は一方的にまくし立てるから「私の言い分が正しい」と勝ち誇るだろうが、しかしそれ以降の世界は中国の発言を白々しく聞くようになる。

いつの日か、中国にとって「歴史カード」を振りかざすことが藪蛇になったと気づかされる日が来る。そうなるように、中国は戦勝国ではないというロビー活動を地道に続けるべきだと思う。

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