今日もまた、頂いたコメントへの返信になって申し訳ないですが、NHKの籾井会長の発言と絡めてコメントを書かせて頂く。
まずコメントの一部を引用させて頂く。一部の切り抜きで申し訳ないが、興味があれば全文を読んで頂きたい。
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企業で働くサラリーマン、農家のおじいちゃん、商店のおばちゃん、そして、TV局のスタッフ、新聞記者等が国、そのものなのである。国が悪い=自分が悪いといっているのと同じなのを勘違いし、問題が起こると他人事みたいに傍観者を決め込み、建設的意見も出さずに何でも国が悪いと批判だけしている人が多いのではないだろうか?国の構成要素である国民が各自で真剣に国の運営を考え、多様な思想、意見を互いに尊重しながら自由に討議して少しでも良い国を作ろうと尽力する…これが民主主義が有効に働く必須条件。
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特に、「国の構成要素である国民が各自で真剣に国の運営を考え、多様な思想、意見を互いに尊重しながら自由に討議して少しでも良い国を作ろうと尽力する…」、この部分がポイントなのだと思う。この言葉を胸にして、NHKの籾井会長の発言を読んでみると、大分、報道での扱われ方との乖離があることに気付く。NHKの籾井会長の発言の文字お越しは色々あると思うが、例えば下記のサイトを見て欲しい。
Weemo「NHK会長記者会見 2014年1月25日午後」
実は、1月31日に行われた衆議院予算委員会での民主党の原口一博氏による質疑の映像をネット上で探し、そちらの方も見ながらのコメントである。また、多くのメディアでも叩かれているが、その叩き方が何とも恣意的である。一応断っておくと、原口氏はある種のマナーを守り、籾井会長が私的感想と断りを付けて発言した部分である慰安婦関連の発言などは非難していない。だからその点はまともである。しかし、原口氏の視点は放送法に照らして籾井会長の考え方は問題があると指摘している。
例えば、最初に指摘された点は、籾井会長の「じゃあ政府が右、といっているものを我々が左、というわけにはいかないと・・・」という発言である。これは、この部分を切り出すと何となく「政府が言う事に是々非々で臨み、国民の間に様々な意見があるとすればそれを併記するのが報道に課せられた、そして放送法の規定そのものではないか」という批判に対して反論の余地がないように見える。しかし、文脈の中でこの部分を理解すると全く別の結論になることを、原口氏を始め報道関係者は理解できないほどの国語力のなさなのだろうか?原口氏は、委員会質問に当たり、籾井会長の発言の全文を読んだとのことだが、本当に読んでいたのかと問いたくなる発言である。
この発言の文脈は、国際放送に限定した話であって、しかも、国際放送の中で尖閣や竹島などの領土問題をどの様に放送するかについて、続けて発言しているのである。つまり、行間を補って理解すれば下記の様な意味になる。「()」でくくった部分が私の作文だから、違うと感じる人もいるかも知れないが、少なくとも籾井会長に問い合わせれば同意してくれると思う。曰く、
「国際放送につきましてはですね、これはやっぱり多少国内(問題に関する報道)とは(扱い方が)違うのではないか、というふうに思います。例えば尖閣、竹島、こういう領土問題については、(国毎に全く違った極めて主観的な主張に沿っての対立が背景にある訳で、そのどちらが正しいのかを議論するなら国際司法裁判所にでも行ってもらわねば、絶対的な答えがある訳ではない。一方で、放送法第4条に規定する「政治的な公平性」にしても、これらの島々の領有権に対しては政治的に対立がある訳ではなく、あくまでも日本の領有権を前提とした上で、他国との間でどの様に調整するか、その点にのみ政治的な対立が残っていると認識している。したがって、1%に満たない特異な意見はあるかも知れないが、概ね日本国民の総意としての領有権の主張はコンセンサスが得られていると考えられるので)明確にやはり日本の立場を、主張する。と、いうことは、当然のことだと思います。えー……、それで“時には政府のいうことを”とおっしゃいますけれど、そういうこともあるでしょう。じゃあ政府が右(すなわち日本固有の領土である)、といっているものを我々が左(様々な国々が領有権を主張し、誰が正しいかは全く分からない)、というわけにはいかないと。(国内放送ではないのだから)国際放送についてはそういうニュアンスもあると思います。やはり外交も絡む問題ですから、(一介の報道機関が日本国の命運を左右する様な誤ったメッセージを世界に発信し)やはり俺はこう思うんだといって、勝手に、というかね、そういう明後日のことを言うわけにもいきませんし、まず、領土問題についてはおそらく齟齬はないと思いますね。」
この文脈の中で読んで、この発言が問題あるとはとてもではないが私には理解できない。
また、特定機密保護法案についてもしかりである。記者は、NHKが特定秘密保護法案について、NHKスペシャルやクローズアップ現代などで取り上げて、民法が総出で取り組んだ一大ネガティブキャンペーンにNHKの看板番組が参戦しなかったことに不満の様で、その番組名を具体的に上げながら、法案が成立した以降も引き続きネガティブキャンペーンへのNHKからの援護射撃を求める形で質問している。この時点で、民主主義の基本原理をすっとばして、何処まで行っても法案をより良い形に変えていく議論ではなく、法案の抹殺を目指しているのである。極めて後ろ向きである。さて、その会話についても下記の様な感じだろうか?
「まあ……、(法案が成立するまでの間は、成立か不成立かで是々非々を戦わせる議論を報道で扱うのは良いのだが)一応通っちゃったんでですね。もう言ってもしょうがない(というか、法案の必要性・趣旨は認めた上で、では運用を如何にすれば国民にとって有益になるかと言う議論をすべきであって、今からちゃぶ台をひっくり返す努力は無駄だ)と思うんですけども。まあ……、ちょっと……僕なりに個人的な意見はないことはないんですが、これはちょっと、(先ほども揚げ足を取られて酷い目にあったので)あまりにも、あれなんで、ちょっと差し控えさせていただければと思いますが」
・・・中略・・・
「秘密保護法のことについてはですね、(民法がこぞって行っているような反対意見ばかりではなく、問題の整理を論理的に行っている人の中には少なくとも法案の必要性を強く訴えている人は山ほどいる訳で)それはいろんな意見もあるでしょうし、それについて政府に、我々は、あの、真逆のことを言わないんだっていう、そんなことを言ってるつもりはないですし、それはそれで、それなりに意見があってよろしいんじゃないでしょうかと思いますけれど、そのー……、政府の人なんかにたぶん言わすと、じゃあ賛成があったっていいんじゃないか、なんでメディアは反対ばっかりするんだっていう、ことだってありますしね。(逆にあなた方に問いたいのは、あれだけ一大ネガティブキャンペーンを張っておきながら、世論調査で見れば、無茶苦茶、圧倒的な結果にはなっていないじゃないですか?もう少し、賛成側の、法案の必要性を訴える方々を丁寧に扱うというのも、放送法に求められるものじゃないですか?放送法はNHKだけを縛るものではないですよ)ただまああの、我々は政府とはピシッと距離をおいてやると。それは何かっていうと、放送法であります。それに沿ってやればですね、政府の言いなりとか、そういうことにはならないというのが、(この記者会見の冒頭でも繰り返し繰り返し私が最重要項目に掲げた)私の思いでございます。」
どうしても、自民党政権の国民からの支持を断ち切りたい勢力、ないしは日本の国力を貶めたい勢力からすると、この様な発言の隅々の言葉尻を捉えて、現状の安倍政権の転覆に繋げていきたいと考える人がいる。確かに、その切り取られた部分だけを聞けば、その主張に思わず納得してしまいそうである。多くの国民は、その様な発言の全文を読んだりしないから、その様な罠を仕掛けても気づかれることはない。しかし、その様な取り組みに対して間違いを指摘し、一人一人が正しい情報の元で是々非々の判断ができる環境があれば、民主主義の必須条件である「多様な思想、意見を互いに尊重しながら自由に討議して少しでも良い国を作ろうと尽力する」ことに繋がるのではないかと思う。
麻生副総理のナチス発言もそうだが、野党の政治家や報道機関は「デマゴーグ」という禁じ手を使わないというのは幻想である。日本の近隣諸国が「デマゴーグ」を駆使して戦いを挑んでくる中で、少なくとも国内でこの様な「デマゴーグ」は許してはならない。国民はそれが「デマゴーグ」であるという判断ができるだけの十分な情報を与えられるべきである。
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まずコメントの一部を引用させて頂く。一部の切り抜きで申し訳ないが、興味があれば全文を読んで頂きたい。
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企業で働くサラリーマン、農家のおじいちゃん、商店のおばちゃん、そして、TV局のスタッフ、新聞記者等が国、そのものなのである。国が悪い=自分が悪いといっているのと同じなのを勘違いし、問題が起こると他人事みたいに傍観者を決め込み、建設的意見も出さずに何でも国が悪いと批判だけしている人が多いのではないだろうか?国の構成要素である国民が各自で真剣に国の運営を考え、多様な思想、意見を互いに尊重しながら自由に討議して少しでも良い国を作ろうと尽力する…これが民主主義が有効に働く必須条件。
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特に、「国の構成要素である国民が各自で真剣に国の運営を考え、多様な思想、意見を互いに尊重しながら自由に討議して少しでも良い国を作ろうと尽力する…」、この部分がポイントなのだと思う。この言葉を胸にして、NHKの籾井会長の発言を読んでみると、大分、報道での扱われ方との乖離があることに気付く。NHKの籾井会長の発言の文字お越しは色々あると思うが、例えば下記のサイトを見て欲しい。
Weemo「NHK会長記者会見 2014年1月25日午後」
実は、1月31日に行われた衆議院予算委員会での民主党の原口一博氏による質疑の映像をネット上で探し、そちらの方も見ながらのコメントである。また、多くのメディアでも叩かれているが、その叩き方が何とも恣意的である。一応断っておくと、原口氏はある種のマナーを守り、籾井会長が私的感想と断りを付けて発言した部分である慰安婦関連の発言などは非難していない。だからその点はまともである。しかし、原口氏の視点は放送法に照らして籾井会長の考え方は問題があると指摘している。
例えば、最初に指摘された点は、籾井会長の「じゃあ政府が右、といっているものを我々が左、というわけにはいかないと・・・」という発言である。これは、この部分を切り出すと何となく「政府が言う事に是々非々で臨み、国民の間に様々な意見があるとすればそれを併記するのが報道に課せられた、そして放送法の規定そのものではないか」という批判に対して反論の余地がないように見える。しかし、文脈の中でこの部分を理解すると全く別の結論になることを、原口氏を始め報道関係者は理解できないほどの国語力のなさなのだろうか?原口氏は、委員会質問に当たり、籾井会長の発言の全文を読んだとのことだが、本当に読んでいたのかと問いたくなる発言である。
この発言の文脈は、国際放送に限定した話であって、しかも、国際放送の中で尖閣や竹島などの領土問題をどの様に放送するかについて、続けて発言しているのである。つまり、行間を補って理解すれば下記の様な意味になる。「()」でくくった部分が私の作文だから、違うと感じる人もいるかも知れないが、少なくとも籾井会長に問い合わせれば同意してくれると思う。曰く、
「国際放送につきましてはですね、これはやっぱり多少国内(問題に関する報道)とは(扱い方が)違うのではないか、というふうに思います。例えば尖閣、竹島、こういう領土問題については、(国毎に全く違った極めて主観的な主張に沿っての対立が背景にある訳で、そのどちらが正しいのかを議論するなら国際司法裁判所にでも行ってもらわねば、絶対的な答えがある訳ではない。一方で、放送法第4条に規定する「政治的な公平性」にしても、これらの島々の領有権に対しては政治的に対立がある訳ではなく、あくまでも日本の領有権を前提とした上で、他国との間でどの様に調整するか、その点にのみ政治的な対立が残っていると認識している。したがって、1%に満たない特異な意見はあるかも知れないが、概ね日本国民の総意としての領有権の主張はコンセンサスが得られていると考えられるので)明確にやはり日本の立場を、主張する。と、いうことは、当然のことだと思います。えー……、それで“時には政府のいうことを”とおっしゃいますけれど、そういうこともあるでしょう。じゃあ政府が右(すなわち日本固有の領土である)、といっているものを我々が左(様々な国々が領有権を主張し、誰が正しいかは全く分からない)、というわけにはいかないと。(国内放送ではないのだから)国際放送についてはそういうニュアンスもあると思います。やはり外交も絡む問題ですから、(一介の報道機関が日本国の命運を左右する様な誤ったメッセージを世界に発信し)やはり俺はこう思うんだといって、勝手に、というかね、そういう明後日のことを言うわけにもいきませんし、まず、領土問題についてはおそらく齟齬はないと思いますね。」
この文脈の中で読んで、この発言が問題あるとはとてもではないが私には理解できない。
また、特定機密保護法案についてもしかりである。記者は、NHKが特定秘密保護法案について、NHKスペシャルやクローズアップ現代などで取り上げて、民法が総出で取り組んだ一大ネガティブキャンペーンにNHKの看板番組が参戦しなかったことに不満の様で、その番組名を具体的に上げながら、法案が成立した以降も引き続きネガティブキャンペーンへのNHKからの援護射撃を求める形で質問している。この時点で、民主主義の基本原理をすっとばして、何処まで行っても法案をより良い形に変えていく議論ではなく、法案の抹殺を目指しているのである。極めて後ろ向きである。さて、その会話についても下記の様な感じだろうか?
「まあ……、(法案が成立するまでの間は、成立か不成立かで是々非々を戦わせる議論を報道で扱うのは良いのだが)一応通っちゃったんでですね。もう言ってもしょうがない(というか、法案の必要性・趣旨は認めた上で、では運用を如何にすれば国民にとって有益になるかと言う議論をすべきであって、今からちゃぶ台をひっくり返す努力は無駄だ)と思うんですけども。まあ……、ちょっと……僕なりに個人的な意見はないことはないんですが、これはちょっと、(先ほども揚げ足を取られて酷い目にあったので)あまりにも、あれなんで、ちょっと差し控えさせていただければと思いますが」
・・・中略・・・
「秘密保護法のことについてはですね、(民法がこぞって行っているような反対意見ばかりではなく、問題の整理を論理的に行っている人の中には少なくとも法案の必要性を強く訴えている人は山ほどいる訳で)それはいろんな意見もあるでしょうし、それについて政府に、我々は、あの、真逆のことを言わないんだっていう、そんなことを言ってるつもりはないですし、それはそれで、それなりに意見があってよろしいんじゃないでしょうかと思いますけれど、そのー……、政府の人なんかにたぶん言わすと、じゃあ賛成があったっていいんじゃないか、なんでメディアは反対ばっかりするんだっていう、ことだってありますしね。(逆にあなた方に問いたいのは、あれだけ一大ネガティブキャンペーンを張っておきながら、世論調査で見れば、無茶苦茶、圧倒的な結果にはなっていないじゃないですか?もう少し、賛成側の、法案の必要性を訴える方々を丁寧に扱うというのも、放送法に求められるものじゃないですか?放送法はNHKだけを縛るものではないですよ)ただまああの、我々は政府とはピシッと距離をおいてやると。それは何かっていうと、放送法であります。それに沿ってやればですね、政府の言いなりとか、そういうことにはならないというのが、(この記者会見の冒頭でも繰り返し繰り返し私が最重要項目に掲げた)私の思いでございます。」
どうしても、自民党政権の国民からの支持を断ち切りたい勢力、ないしは日本の国力を貶めたい勢力からすると、この様な発言の隅々の言葉尻を捉えて、現状の安倍政権の転覆に繋げていきたいと考える人がいる。確かに、その切り取られた部分だけを聞けば、その主張に思わず納得してしまいそうである。多くの国民は、その様な発言の全文を読んだりしないから、その様な罠を仕掛けても気づかれることはない。しかし、その様な取り組みに対して間違いを指摘し、一人一人が正しい情報の元で是々非々の判断ができる環境があれば、民主主義の必須条件である「多様な思想、意見を互いに尊重しながら自由に討議して少しでも良い国を作ろうと尽力する」ことに繋がるのではないかと思う。
麻生副総理のナチス発言もそうだが、野党の政治家や報道機関は「デマゴーグ」という禁じ手を使わないというのは幻想である。日本の近隣諸国が「デマゴーグ」を駆使して戦いを挑んでくる中で、少なくとも国内でこの様な「デマゴーグ」は許してはならない。国民はそれが「デマゴーグ」であるという判断ができるだけの十分な情報を与えられるべきである。
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