自分は何をしたいのか（１）

自分は何をしたいのか。

そんなことをずっと考えてきた。

高校を卒業するときも、
大学に入学してからも、
会社で働き始めてからも、
そして今も。

だけれども答えは見つからない。
何も見出せないまま無為に10年近くを過ごしてきた。

このまま悩み続けながら何も成し遂げないで朽ち果てていくのか。




自分は何をしたいのか。

何をしたいのかは分からない。
だけど自分が出来ることは分かる。
だから出来ることを消化しながら毎日をやり過ごす。
それは「自分は何をしたいのか」という答えの出ない禅問答をなおざりにするための場当たり的で衝動的な行動でしかなかったのかもしれないが。



自分は何をしたいのか。

ただ、これを探求するのにもそろそろ疲れてきた。
きっと自分のような凡人はそんな期待を抱いてはいけないのだ。
そんなものは始めからなかったのだ、幻想だったのだ。
だから、耳と目を閉じ、口をつぐんで、ひっそりと息を殺しながら、時の流れに身を任せていれば良いのだ。

きっとそれが現実なのだ。

I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes. That way I wouldn't have to have any goddam stupid useless conversations with anybody.

The Catcher in the Rye, J.D. Salinger

だけれども、あるふとした瞬間に気付く。
自分はもしかしたらこれをしたいのかもしれない、と。

（続く）