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Optimus Princeps

2012年02月28日 | ラテン語の備忘録
再びラテン語の話で恐縮です。

ローマ帝国の五賢帝の一人として、マルクス・ウルピウス・トラヤヌスというローマ皇帝がいた。
(塩野七生の「ローマ人の物語」では "トライアヌス" と呼ばれている)

この皇帝、その善政や人望の厚さから "Optimus Princeps(至高の皇帝)" と呼ばれていた。

というわけで、今日はこの "Optimus Princeps" について。



まずは "princeps" から。

本来的には「皇帝」ではなく「第一人者」という意味になる。
そもそもローマ帝国というのは(一応、建前上は)民主主義国家であり、皇帝による独裁は(一部、非常時における例外を除いては)なかった。
そういうこともあって、皇帝はあくまでも市民の代表者であり、その意味では「独裁者(dictator)」ではなく「第一人者(princeps)」であったのだ。

ということを踏まえて「第一人者」の語源は以下の通り。

Primus(第一の) + ceps(captより)

以前にも書いたが、この "ceps" は "Capt" を語源としている。
意味としては「頭」や「頭を獲る」や、単に「獲得する」。

派生した言葉は、captain, chief, capture, capital, receive, conceptなど。

すなわち、Princepsは「第一の地位を獲得した人」ということになる。



そして "Optimus"。

語源は「選ぶ・好む」を意味する "optare" から来ており、転じて "Optimus" は「最も良い」という意味になっている。
言わずもがな、"Optimistic" などがこれを語源にしている。
Optimistic って単に「楽観的」だと思っていたけれども、本来的には「自分の精神を最も良い状態にする」ってことなのかもしれない。

一方で、英語にあたる "better" はラテン語では "melior" という。
知らなかったのだけれども、"meliorate(改善する)" という英語の表現があるらしい。

さて、そうなると英語にあたる "good" が何かも気になってくる。
これは本当にビックリだったのだが、ラテン語では "bonus"。

現代での「ボーナス」は「やったぜ!ボーナスゲットだぜ!スーツ新調するぜ!」という非日常的な良さがあるけれども、もしかするとこの時代は「うん、まあ、良いですよね」ぐらいの軽い日常的な「良い」だったのかもしれない。適当に言ってるけど。

なお、ついでにビックリだったのが、この "bonus" から派生して、イタリア語の "buono" になっていること。
当然、フランス語の "bon" や スペイン語の "bien" もここから来ている。

で、ここまで調べたら「良い」だけじゃなくて「悪い」の方も調べなくちゃいけないのだけれども、長くなってきたので割愛すると:
bad: malus
worse: peior
worst: pessimus

悲観的っていうのは精神的に最悪の状態なんだよって話なんでしょうね。

以上、すごく尻すぼみな感じですが、終わり。


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1 コメント

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相変わらず (ハドリアヌス)
2012-04-01 04:29:50
マニアックなネタを書いているね。嫌いじゃないけど。
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