オーストラリアに単身赴任中の父親が実家に帰ってきています。
相変わらずエネルギッシュな人でした。
けんたです。
父親が風呂上りにこう言った。
「悪いんだけど、背中が凝ってるからユーカリ(POISON)塗ってくれる?」
快く引き受け、ユーカリ(POISON)を父親の背中に塗ってゆく。
父親の肩を揉むだとか、マッサージをするだとか、そういえば私が高校卒業をしてからは一回もやっていないような気がする。
8年ぶりか・・・。
もうそんなに経つのか。
しかし、父親の背中も随分と小さくなったものだ。
自分が大きくなったのか、父親が小さくなったのかは分かるはずもないが、少なくとも子供の頃に見ていたあの大きな背中はひっそりと影をひそめてしまっている。
よくよく思い返してみると、父親は自分にとってずっと憧れの存在だった。
頑固でわがままで、自分のやりたい事しかやらない。
しかも大人げがなくて、いたずら好きで、破天荒。
例えば、家族でオーストラリアに住んでいる頃、後ろの車に煽られた事があった。しきりにパッシングされたり、クラクションを鳴らされたり。
「あー、ヤバイ。こりゃぁうちの親父キレるな・・・」
ところが父親はすんなりと道を譲った。
「あれ?おかしいな・・・」
とその後ろの車が横を通り過ぎようとしたまさにその瞬間、父親が窓を開けてバカでかい声でこう叫んだ。
「Hey! Fuck You!」
しかもそれだけならまだしも、今度はそのままその後ろにピッタリつけて、パッシングやクラクションを鳴らしまくる。
前の車も観念したのか、道を譲ってくれた。
そして抜き際に再度中指を立てながら「Fuck You!」と外人を挑発する父親。
その後はさすがに追いかけられてはこなかった。
でも、そんな父親が頼もしくて、おもしろくて、子供の頃からの憧れの存在だった。
そしてそんな父親の背中を見ながらここまで来た私。
今は小さくなった父親の背中にユーカリ(POISON)を塗っている。
そしてふと思う。
自分の背中はどうだろう。
あの頃の父親みたいに大きいのだろうか。
将来生まれてくるであろう子供が誇れるような大きい背中を持つ事は出来るのだろうか。
様々な思いがかけめぐる中、たかだかユーカリ(POISON)を塗っているだけなのに、何か確かなものを父親から受け継いだ気がした。
「うん、もういいよ。ありがとう。お前の背中にも塗ってやろうか?」
「あー、じゃあお願いしようかな」
そして無言で塗り始める父親。
父親も私の背中を見て何か考えているのだろうか。
「大きくなったな」なんて思ってくれているのだろうか。
・・・野暮なことを考えるのはやめよう。
今は久々の父子のひとときのふれあいに身を委ねることにしよう。
と、ちょっと感傷的になってしまった、そんな秋の夜長でした。
相変わらずエネルギッシュな人でした。
けんたです。
父親が風呂上りにこう言った。
「悪いんだけど、背中が凝ってるからユーカリ(POISON)塗ってくれる?」
快く引き受け、ユーカリ(POISON)を父親の背中に塗ってゆく。
父親の肩を揉むだとか、マッサージをするだとか、そういえば私が高校卒業をしてからは一回もやっていないような気がする。
8年ぶりか・・・。
もうそんなに経つのか。
しかし、父親の背中も随分と小さくなったものだ。
自分が大きくなったのか、父親が小さくなったのかは分かるはずもないが、少なくとも子供の頃に見ていたあの大きな背中はひっそりと影をひそめてしまっている。
よくよく思い返してみると、父親は自分にとってずっと憧れの存在だった。
頑固でわがままで、自分のやりたい事しかやらない。
しかも大人げがなくて、いたずら好きで、破天荒。
例えば、家族でオーストラリアに住んでいる頃、後ろの車に煽られた事があった。しきりにパッシングされたり、クラクションを鳴らされたり。
「あー、ヤバイ。こりゃぁうちの親父キレるな・・・」
ところが父親はすんなりと道を譲った。
「あれ?おかしいな・・・」
とその後ろの車が横を通り過ぎようとしたまさにその瞬間、父親が窓を開けてバカでかい声でこう叫んだ。
「Hey! Fuck You!」
しかもそれだけならまだしも、今度はそのままその後ろにピッタリつけて、パッシングやクラクションを鳴らしまくる。
前の車も観念したのか、道を譲ってくれた。
そして抜き際に再度中指を立てながら「Fuck You!」と外人を挑発する父親。
その後はさすがに追いかけられてはこなかった。
でも、そんな父親が頼もしくて、おもしろくて、子供の頃からの憧れの存在だった。
そしてそんな父親の背中を見ながらここまで来た私。
今は小さくなった父親の背中にユーカリ(POISON)を塗っている。
そしてふと思う。
自分の背中はどうだろう。
あの頃の父親みたいに大きいのだろうか。
将来生まれてくるであろう子供が誇れるような大きい背中を持つ事は出来るのだろうか。
様々な思いがかけめぐる中、たかだかユーカリ(POISON)を塗っているだけなのに、何か確かなものを父親から受け継いだ気がした。
「うん、もういいよ。ありがとう。お前の背中にも塗ってやろうか?」
「あー、じゃあお願いしようかな」
そして無言で塗り始める父親。
父親も私の背中を見て何か考えているのだろうか。
「大きくなったな」なんて思ってくれているのだろうか。
・・・野暮なことを考えるのはやめよう。
今は久々の父子のひとときのふれあいに身を委ねることにしよう。
と、ちょっと感傷的になってしまった、そんな秋の夜長でした。