西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

テ・デウム(1) 

2017-01-16 21:51:02 | 音楽一般
Te Deum(テ・デウム)というと、真っ先にやはりブルックナーの作品を思い起こします。他に、ドボルザークのそれもスメターチェクの演奏で愛聴しています。他にも、ベルリオーズ、ビゼー、古いところではフランスのヴェルサイユ楽派のマルカントワーヌ・シャルパンティエなども作品を残しています。この曲はカトリックの祭典曲ということですが、キリスト教の歴史を知れば、私などはとても賛美する気持ちなど持てないですが、純粋に神の栄光をたたえる人の気持ちの現われという考えで捉えたいと思います。

テ・デウムはラテン語の歌詞でいつか一字一句知りたいと思っていました。力強いブルックナーのその作品を聴けば聴くほど、その気持ちは強くなります。
読みは、ラテン語の古典時代の読み方をとっています。実際に合唱団が歌うのは、ドイツ式あるいはイタリア式で、ここに記したのとは異なるでしょう。

Te Deum laudamus:
テー デウム ラウダームス
Te Dominum confitemur.
テー ドミヌム コーンフィテームル
Te aeternum Patrem omnis terra veneratur.
テー アエテルヌム パトレム オムニス テッラ ウェネラートゥル
Tibi omnes angeli; Tibi caeli et universae potestates;
ティビ(-) オムネース アンゲリー ティビ(-) カエリー エト ウーニウェルサエ ポテスターテース
Tibi Cherubim et Seraphim incessabili voce proclamant:
ティビ(-) ケルービム エト セラピーム インケッサービリー ウォーケ プロークラーマント

te 人称代名詞2人称単数対格
deum deus(2)神、の単数対格
dominum dominus(2)主人、の単数対格
confitemur confiteor(2)認める・白状する、の直説法現在複数1人称
laudamus laudo(1)賞める、の直説法現在複数1人称
aeterunum aeternus,a,um(形)永遠の、の男性単数対格
patrem pater,patris(男)父、の単数対格
omnis omnis,omne(形)全ての、の単数主格(男女性共通)
terra (1)大地
veneratur veneror(1)崇拝する、の直説法現在単数3人称
tibi 人称代名詞2人称単数与格
omnes omnis,omne(先述)の男性複数主格
angeli angelus(2)天使、の複数主格 *所持する辞書にない.
caeli caelum(2)天、空、の単数属格
universae universus,a,um(形)全体の・すべての、の女性複数主格
potestates potestas,atis(女)能力、の複数主格
Cherubim とSeraphimの2つは所持する辞書になし.英和辞典の訳、説明を記すと、
Cherubim (ラテン読みはケルービム)ケルビム(天使九階級の第二階級に属する天使、知識にひいでる) 古代ヘブライ語に由来
Seraphim (ラテン読みはセラピーム)seraph((諸天使中)最高位の天使)の複数 古代ヘブライ語に由来
et (接)と、そして
incessabili この語所持する辞書になし.英和辞典でこれに関連する語ということで調べると、incessant(形)絶え間のない・ひっきりなしの、がある。語源欄にはラテン語のincessans,-antisに由来とあり、この語はnotの意のin-とto cease(「やめる、終わる」)の意のcessareが結合したものとある。cessoはもちろん辞書にある(英 cease(やめる))。incessansのinをとったcessansはcessoの現在分詞形で、incessabili中のcessはcessoから来ている。
laudo (先述)に由来するlaudabilis,e (形)たたえるべき、という語があり、結局incessabiliは形容詞incessabilis,eの単数奪格(3性共通)と考えられる.
voce vox,vocis(女)声、の単数奪格
proclamant pro-clamo(1)(他)大声で叫ぶ、の直説法現在複数3人称

天主にまします御身(おんみ)をわれらたたえ、
主にまします御身を讃美し奉る。
永遠(えいえん)の御父(おんちち)よ、全地は御身を拝みまつる。
すべての御使い(みつかい)ら、天(あま)つ御国(みくに)の民、よろずの力ある者、
ケルビムも、セラフィムも、絶間(たえま)なく声高らかに御身がほぎ歌をうたいまつる。
(公教会祈祷文)


ブルックナーのテ・デウムは、1881年に作曲され、1883-84年に改訂されました。丁度同じころ、第7交響曲が作曲され(1881-83年)、その第2楽章にはこのテ・デウムからの旋律が引用され出てきます。最後の交響曲となった第9番は結局、作曲者の死により、第4楽章が完成されず、未完のまま残されましたが、生前ブルックナーは第9交響曲の第3楽章の後に、このテ・デウムを演奏して欲しいと言ったのは有名な話です。実際そのように演奏されることもあるようです。調性の関係で、結び付けることに難を唱える人もいるようですが、内容的には繋がるものがあると思っていますが、どうでしょうか。

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