西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ショスタコービチ・オラトリオ「森の歌」

2007-12-15 10:27:03 | 20世紀音楽
今日は、ショスタコービチのオラトリオ「森の歌」が初演された日です(1949年、レニンフラード、現サンクトペテルブルク)。(別の資料では、初演は11月となっていますが?)
この曲は、ショスタコービチの全作品の中でも極め付きの問題作というべきだろう。置かれた時代がそうさせたのは分かるが、歌詞を見れば分かるとおり、世界をミスリーディングした独裁者スターリン讃歌となっているからだ。このような歌詞を前にしてどのように解釈すべきか。全くの無価値として退けるか。フルシチョフのスターリン批判後に、歌詞が改定されたのを受けてその内容をよしとするか。それとも純粋楽曲として、日本の有名指揮者が言うように名曲として享受するか。緑の保全運動としてはいいが、改定された歌詞でも依然コミュニズムという独裁権力集団を讃え歌い上げている。ショスタコービチは、生前ほとんど自分の考えを発言する機会を失われていた。今の日本をはじめ西側諸国の現状からすれば、全く考えられないことである。プロコフィエフについても、スターリンの誕生を祝う作品が遺されている。この曲が割りと最近蘇演された時、ハンガリーなどでは拒絶する反応が起こった。当然のことである。ショスタコービチは、どの歌詞によるのであれ、この曲の演奏に対し本来どのような考えであるのかなどと思う。

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