山口昌男が亡くなりましたね。
特別好きだというわけでもないのですが、
その割にはずいぶん本も読ませてもらい
影響も受けたのだと思います。
何より視界が右に左にずいぶん開けていったような
印象が残っていますね。
69年の浪人生のころ、
日本読書新聞を購読していて、
そのころ話題になっていたらしい(?)
吉本の「共同幻想論」を論評する記事が
連載されていました。
その論者が山口昌男でありました。
「共同幻想論」を論じられるのはお前しかいない、
ということで
論評を依頼されたのではなかったでしょうか。
それが私めが、吉本隆明と次いで、山口昌男の
名前を知った最初だったと思います。(たぶん)
70年代半ばあたりから、
俄然八面六臂の活躍をしだし、雑誌「現代思想」で、
レヴィストロースをはじめとする
思想界のそうそうたるメンバーに軽々と
インタビューする記事が出たのではなっかたかしら。
それから次々と著作が出版されていきました。
トロッキーを論じた文章が
林達夫の文章ともどこか通底して、
面白く読んだことを覚えていますな。 ( 「歴史・祝祭・神話」中公文庫)
乱雑な書棚からいくつか探し出して開いてみると、
あちこち線が引いてあるので、
「お~結構熱心に読んでるやないのぉ」
と、かび臭い本のにおいをかぎながら思うのでありますが。
(熱心な読者であったこと、再認識です。)
ところで、最初に目にした「共同幻想論」論評は
その後彼のどの本にも収録されなかったのですが(たぶん)、
最近の吉本追悼特集の雑誌に、それが掲載されているのを見つけ、
ついこの間、40数年ぶりに再読してみたところです。
あの頃も、読んでよくわからなかったけど、
やっぱり今回もよくわかりませんでしたね。
(あまりお二人の相性はよくなったんでしょうね。)
ともあれ、ご冥福をお祈りして、
「合掌」、です。