『ギターを持った渡り鳥』(1959/日活)
のっけからこれだもんね(笑)。
どこの国よ?というのが「日活無国籍映画」
だ。
主人公の滝伸次は、銃でいくら人を殺して
も逮捕されない(笑)。
最後に警官隊が来て逮捕されるのは決まっ
て宍戸錠だ。
その宍戸錠(ジョー、マサ、テツ)の
役むきの最期は1970年の『ハレンチ学園』
だ。そこで、マカロニ先生(宍戸錠)に
撃ち殺されてしまう(笑)。
その時の登場の台詞がこうだ。
「チッチッチ。10年前、石原裕次郎に
殴られ、小林旭に蹴っ飛ばされまくって
たコルトのジョーとは俺のことだ」
さて、主人公渡り鳥の滝は函館の町に
流れ着く。元神戸市警のデカだった
事は物語の最後のほうで明らかになる。
そして、バー「ビオン」で白人に喧嘩
を吹っ掛けられている人を助ける。
突然登場する滝。
白人のマドロス(笑)のパンチを見事
にかわしてからウイスキー浴びせ!
だが、おかしいことに気づく。
上のカウンターにいる客たちの位置を
見てほしい。そこに滝はいないのだ。
しかし、突然ちょい前まで背広の
おっさんが座っていた角から6番目
の席にヒーロー滝は座って酒を飲んで
いるのだ。ギターの傾きも逆になって
いる。変なの(笑)。
しかし、このカットもおかしい。
一番奥の端のカウンター席に座ってる
のだ。
ところが殴り合いのシーンではそれ
より手前側の席にいたことになって
いる。
そもそも、その数秒前のシーンでは
そこは背広のおっちゃんがいたんだ
しよ~(笑)。
変なの(笑)。
映像の編集トリックで違和感がない
ように錯覚させるが、ちぐはぐさは
すぐに出る。映像は嘘つかない。
それに、チッチッチ。パッとその場
を見て、誰がどこに何人どういう
服着てどのような体勢でいるか、と
いうのは瞬時に見抜いて把握しないと、
ハジキを扱う奴は生き残れないのさ(笑)。
驚くママさん。ママでなくマダムか。
ラムが120円。サントリーオールドが
1杯150円だ。
レート相場は大体現在の1/10と思えば
遠くはない。
ダルマが1杯1500円というあたりの店。
ウォッカが安いね。1杯80円だ。
ママさんが色っぽい。これ、映像で
見た方が分かりやすい。この色香が
理解できるようになるには、修羅場
をくぐらないとならないという。
知らんけど。
このバーは同じ建物の中にダンス
ホールキャバレーがあり、生バンド
演奏や踊り子がステージで踊る。
その建物の2階には町を仕切る裏世界
の悪者の事務所。表の顔は実業家だ。
事務所へ続く部屋にはビリヤード
ルームがあり、四つ玉台が2台設置
されている。
驚くのは「カウントさん」と呼ばれた
点数数え専門の女性を雇っている事
だ。
四つ玉は紅白の4つの玉でプレーする。
白い手玉を決め、白-赤=1点、赤-白
=2点、赤-赤=3点、3玉当て=5点だ
ったが、後にすべて1点にルール変更
になった。持ち点を200点とかに決め
て対戦する。上級者はバンキングで
勝ったら大抵1キューでノーミスの
まま持ち点を撞き抜いてしまう。
それは、レール際に3個の玉をクラスタ
に固めて、それをコツコツと撞きな
がら三角形を崩さずにレールサイド
をずっと延々に歩き回る「セリー」と
いう撞き方をするからだ。
そのために、さらに難易度を上げる
ために、コーナー付近や四角囲いの
エリアでは的玉を一度外に出さない
と無得点とするボークラインが誕生
した。
カウントさんは、どの撞球場にもいて、
「ふたじゅうさん。ふたじゅうご」
というように、点数ごとに声を出して
告げたり、ボールをセットするのが
仕事だった。玉撞きができないと
やれない女性の仕事だった。
四つ玉は日本で生まれた競技だが、
非常に奥が深い。
海外での穴無し台でのキャロムビリ
ヤードは三つ玉か大台でやるスリー
クッションがメインだ。
英語のビリヤードとはキャロム競技
の事を厳密には指している。
穴入れ撞球はスヌーカーもしくは
アメリカン・ポケットビリヤード=
プールと呼ばれる。
日本では1980年代後半までは、日本
全国、四つ玉が主流だった。
しかし、映画『ハスラー2』(1986)
の影響で日本でもポケットが流行
し始めた。元々は京都大阪がポッケ
が主流だったのだが、プールは米国
でも「ギャンブルの為の撞球」である
ことが多かったので、日本ではあまり
普及していなかった。
フィリピンなどは今でもプールといえ
ば博打のことだ。ビリヤード=博打
でしかないのがフィリピンの事情だ。
金を賭けずにスポーツで玉撞きをする
人間はフィリピンには一人もいない。
金ではない、腕の勝負を本心では希望
する、という映画『ハスラー』(1961)
や『ハスラー2』(1986)でテーマに
なった真剣勝負精神などはフィリピン
には存在しない。ビタ一文だろうが、
金が賭けられないのならばフィリピン
では玉撞き対戦は行なわれない。
日本ならば麻雀がそれにあたるだろう。
警察官だろうが検察官だろうが弁護士
だろうが、金を賭けずに麻雀をやる
人を私は知らない。公的なプロ対戦
や大会麻雀以外の雀荘でのパイつまみ
は全部賭博が行なわれているのだ。
「うちで働かないか」と函館の町の
暗黒街のボスに誘われたが、主人公
滝はそれを断る。のちに用心棒で
働くのだが。
滝は、独り波止場(死語)でギターを
爪弾くのだった(笑)。
意味わからん。
だが、このパターンは、石ノ森章太郎
の『人造人間キカイダー』によって
引き継がれたのだった(笑)。
キカイダーのジローは凄かったなぁ。
機械だからか、手にグローブはめた
ままでもギターを爪弾けちゃったもん。
できるかっつーの(笑)。