奥羽山系マタギの世界
https://www.youtube.com/watch?v=k86HTtgTjYs
日本古来のブッシュクラフトマン
にして究極の熊ハンター、マタギ。
これは1987年にNHKで放送され
た番組である。
古代、狩猟民の技術の多くを学ん
だ武人は貴種降誕と結合して武士
階級を形成して行った。
中世以降も近世に及ぶまで、武将
にとっても鹿狩、鷹狩などの狩り
は軍事訓練の一環として必要不可
欠のものだった。
対人のみならず、武士は殺生与奪
とは密接不可分の存在だった。
いくら仏教的戒律で日本人観を説明
しようとしても意味がない。
武士のみならず、日本人は魚貝を
獲り、鳥を落とし、哺乳類を殺して
食していたからである。これは江戸
期もそうであり、熊、猪、牛、馬、
豚、鹿、兎、鯨は言うに及ばず
犬までもが江戸市民によっても食
された。
蚊を殺しただけで咎めを受けた
綱吉時代のみが異様だったので
ある。
日本人が動物の食肉を為さなかっ
たというのは、作られた嘘である。
食肉が鍋物で大流行したのは幕末
で、15代将軍は豚が好きなので、
豚好きの一ツ橋の殿さまという
ことで「トンいち様」というあだ
名まで
つけられていた。京都においても
シャモ鍋や牛鍋や豚汁は多く食べ
られていた。
この動画の中にあるカンジキを
はいての雪中歩行法は剣術や抜刀
術にも時を超えて継承されている。
雪を踏みしめる力を半減させる
重心の軽量化の歩行法は動物から
マタギが学んだ技だ。それをモノ
ノフが命がけの戦闘技法に導入した。
またぎが主人公の小説としては、
熊谷達也の『邂逅の森』が秀逸だ。
2004年第17回山本周五郎賞、第131
回直木賞をダブル受賞した名作だ。
私は当時読んで、「ここ20年で
一番感銘を受けた作品」と感じた。
熊谷達也は素晴らしいと思った。
久々に骨太で社会の実像に肉迫
する小説家が出て来たと思った。
ただし、この熊谷『邂逅の森』は、
著者がダークゾーンに転落する前
の珠玉の作品として私はお薦めし
たい。
著述業にとってのダークゾーン
とは、絶対に己の文章で勝負し
なければならないところ、剽窃を
やってしまうことだ。これは作詞
作曲でも然りだ。
山本周五郎賞、直木賞受賞3年後
の2007年に、別作品で他者の著述
を盗作して、熊谷達也は当時の
連載が打ちきりになった。非常に
残念だった。
一度そうなると、著述業はなか
なかかつてのようには浮かびあが
れない。
ろうあ者を偽装して自作と偽って
いた先ごろの「音楽家」がそうで
あったように。
この熊谷『邂逅の森』は新刊が
手に入るからまだよい。
だが、自己責任ゆえw文壇から排除
された小説家の作品の新刊は出版
されない。
そういう作家は何人かいる。