渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

未来を背負う若者 ~刀工編~

2012年01月01日 | open

(公)日本刀文化振興会主催、第1回「新作日本刀・刀職技術展覧会」から。

入選
岡山県 安藤祐介
脇差 銘 広康作
長さ35.2cm 反り0.3cm


おおっ!
そうきたか!
しかも、かなり上手。
温故知新、師匠である父君(刀匠安藤広清)のさらに師匠路線を
狙うとは。
刀姿を見た瞬間に懐かしさがこみ上げてきた。
ヤスリが一本突きであるのも泣かせる。


(財)日本美術刀剣保存協会「第6回新作名刀展」(1970年)
入選
東京都 小林 林(刀工登録1970年)
脇差 銘 康宏
長さ 44.9cm
地鉄板目流れ柾まじる。
刃文互の目砂流しかかる。
帽子乱れこんで小丸に返る。




毎日のように手にとって引き込まれるように眺めていた脇差だ。
刀工登録初年度出品でいきなり入選した。
しかし、某権威筋から「古刀のなかごを摺り上げて銘を切るようなこと
してもらっては困る」とクレームをつけられたいわくつきの作品だ。
その時以来、初代康宏は日刀保の新作展に出品するのを拒否した。
新進気鋭の若手、安藤広康刀匠の入選作を見たとき、この初代
康宏の入選作が脳裏に蘇った。
広康刀匠の父安藤広清刀匠は初代小林康宏の弟子だった。
独立後は岡山県津山市で作刀活動をしている。
現在、ご子息も刀工となり、鎚音を響かせている。
作州津山は江戸時代から名工が住している。
また、津山藩松平家伝来だった童子切安綱は天下五剣の
筆頭とされ、現在国宝となっている。

今、世代交代で若い刀工が各地で確実に育ちつつある。
安藤広清刀匠の息子広康刀匠も着実に実力をつけてきている。
未来永劫に人の心に残る深い作品を作ってほしいと
切に願う。
未来は若者のものだ。

(安藤広清刀匠は津山にて作刀し、子息広康刀匠は長船に
駐鎚しているようです)

おさふね刀剣の里


たそがれ清兵衛

2012年01月01日 | open



『たそがれ清兵衛』の2枚組DVDがたまたま1000円台で
販売されていたので仕事帰りに買ってきた。
ビデオと違ってDVDの面白さは、ボーナストラックでメイキングや
インタビューが収録されていることだ。
今回購入した2枚組は1枚分まるまる製作秘話が収められており、
貴重な別テイクやオミット(削除)映像なども紹介している。
山田監督が実に緻密に自分のイメージに合うように何度も何度も
リテイクや別テイクを撮ったことがわかる。本編を観たときに感じた
作品の丁寧さというのはそうした製作サイドの執念がもたらした
ものだろう。
2枚組DVDでなくとも、本編だけで十分に傑作だ。
その後も藤沢周平の作品は映画化されたが、藤沢周平の世界を
描ききれているかどうかというと、本作が突き抜けているように
感じる。ただ、興行成績としてはキムタクの『武士の一分』の方が
松竹の収益記録を塗り替えるほどにヒットした。
私は個人的には『たそがれ』の方がずっと好きだ。
映画の出来としても本作の方がよい。
『武士の一分』が興行収益の記録を塗り替えたのは、作品主体ではなく、
出演者がどうかという別な要因だろう。普段時代劇など観ない層を
劇場に呼んだという点では成功だったのかもしれない。