(マイクロベベルを付けた適正
な刃先)
アウトドアナイフの世界では
由々しき事態が現在起きてい
る。
それは、マイクロベベルとい
う先人の到達した優れた技法
と見識をあたかも悪しき物で
あるかのようにど素人が削り
落としてしまう事だ。
これは、ど素人に毛が生えた
程度の刃物無知のユーチュー
バーが拡散させた。
その人は自分で手探りでアウ
トドア活動を始めた人で、全
て自己流だ。6年ほど前から
アウトドア活動の動画を公開
し始めた。
実銃狩猟者でもあるのだが、
数年前からは玩具銃のウンチ
ク話も動画でアップしている。
玩具銃については全くのど素
人で研究不足も甚だしい。
ひどいのは刃物に関する動画
で、最初の頃の研ぎなどはス
キージャンプ台のような凹レ
ンズの如き砥石でガリガリや
って、これでないと研げませ
ん、みたいな事を言っていた。
見識が低すぎる。
その後、研ぎではフラットな
砥石面がいかに重要かを思い
知ったようで、訂正した。
だが、今でも研ぎ手のアング
ルは定まらずグラグラのまま
で乱雑な擦り削りをやっている。
タライのタワシ洗いでさえあ
そこまで乱暴にはやらないぞ、
みたいな。
とにかく雑、粗雑である。
(この人個人や動画を全否定し
ているのではないので、脳内
二極ステレオ判断で私をこの
件で揶揄することは一切認め
ない。
言うとしたら言う者の脳内
判断がまともではない。
世の中、ディスリかベタベタ
神格化の二極ではない)
そして、多分私の読みは当た
っているとは思うが、研ぎが
出来ないからベタ研ぎ(しかも
ソーメン並べではなくガタガ
タの)にして重要なマイクロ
ベベルを落としてしまうしか
なかったのではなかろうか。
止め刃、糸刃の重要性につい
ての認識が無さすぎる。
料理包丁についてきちんと学
んだことも、ナイフについて
勉強したこともないのだろう。
日本刀については全く無知で
ある事は動画の発言からは窺
える。
そして、問題なのは、その人
の動画は面白いので人気も出
て、いつの間にかその人のや
る事がスタンダードでその道
の定番であるかのように思い
込む脳内亡者が大量発生して
いる事だ。
その人本人は「あくまで私は
こう」とは言っているのだが、
視聴者には届かない。
というか視聴者は思考能力に
乏しく、鵜呑みにして真似を
する。駄目な事を。
そして、鵜呑みにした連中が
大発生して、自分がさも刃物
を分かったような顔をして
劣化コピーで嘘を広めている
のである。
つまり、何がなんでもマイク
ロベベルを削り落としたほう
が良い物なのだ、とするよう
な極限低レベルで誤った思い
込みを世に広めようとしてい
るのだ。
よせばいいのに、大手ショップ
等もマイクロベベルがぁ、と
かいい初めている。
あんたたち、10年前にそんな
こと言ってたか?(笑)。
マイクロベベルという名称で
はあるが、日本の伝統的な刃
物業界では、「とめ刃」「糸刃」
と呼ばれて刃物に必要な処理技
法として伝承されてきた。
たとえ日本刀だろうと、包丁
だろうと、身に沿ったベタ刃
だと刃持ちと耐久性が極度に
劣るのである。これは一千年
以上の日本の常識、地球の定
理である。
マイクロベベルを付けたハマ
グリ刃のナイフ。
同じくマイクロベベルを付けた
ハマグリ刃の別なナイフ。
幅の狭い小刃をハマグリに仕上
げ、更に刃先にマイクロベベル
を付けた特殊技法の研ぎのナ
イフ(私の研ぎ)。
この広い部分の小刃の幅は1ミリ
を切っている。しかしその小刃
の中にさらに極小のマイクロベ
ベルを刃先に付けている。なぜこのような研ぎが手研ぎで
出来るのか。
理由は出来る者は出来るからだ。ダンクシュートは誰にでも出来
るものではないが、出来る者は
難なく出来る。
そういうものだ。それが理由だ。
このミクロン単位の先端のエッヂ
を任意に施せることが刃物の研ぎ
には極めて重要になってくる。切れ味、刃味、切り味を狙った制
御下に置くには絶対に必要な技術
なのである。
悪貨は良貨を駆逐する。
私あたりがいくら言っても、
バイクの危険な背骨硬直腕
伸ばしガチガチ載り(通称ヤ
キトリ)がさも正しいことで
あるかのように蔓延してし
まった世の中のように、刃物
でもナイフのマイクロベベル
を落としてベタ研ぎにしてし
まうことが良いことだ、みた
いな愚かな風潮は止まらない
ことだろう。
寧ろ伝統的な正しい事を説諭
すると逆ギレする連中ばかり
かもしれない。今のゆとり
世代が主体の世の中は。
バイクにしても刃物にしても
武術刀術にしても、正しい技
法を説くと曇った目玉の連中
はそれを拒否したがる。
楽でヒャッハーが楽しいし、
愉快だし、ことの次第が正し
いか正しくないかなどという
事は斟酌しない。
なんたって、地動説を知らず
天動説を信じる小学生が多く
いるような世の中だ。東大
生が開いた花火を真横から
見たらとの問いに、打ち上
げヒュルルのような絵を
描く時代だ。「トリ肉は
何の肉か?」との問いに
牛とか豚と答える人が何人
もいるような日本の現状
なのである。
円周率を3とされたあたりか
らそういう人々が大量に発生
した。
複雑なことは考えられない。
1、2、沢山、みたいなもんだ。
私の日記を揶揄中傷する者の
中にも、「渓流のブログなん
て面白くないよ。文字ばかり
だから」と言うのまでいる。
そんなもんだ。難しい事は考
えられない以前の問題だ。
なんだろうなあ。無知の知の
欠落ではなく、理知の知の欠
如なんだろうなあ。
しかし、物理法則というのは、
昔も今も不変なんだよね(笑)。
誰がどう勝手に夢想、妄想を
しようとも動かない定番とい
うものがこの宇宙には存在す
る。手を離せば物は落ちる、
みたいな。
これは地球に重力がある限り
不変だ。
そうした物理特性から導き出
した先人たちの知見を個人的
我儘な欲望で否定する権利は
誰にも許されてはいない。
やるのは自由だ。
だが、物理的な理由があって
施した事や、バイクなどでも
その適正な走法技法を無知な
者たちが否定する権利は無
いのである。
自分がやるのは勝手だ。好き
にやればいい。
但し、日本刀は自分の物では
ないので手を出すな。
「俺の刀だから何やろうと俺
の勝手だ」などということは
こと日本刀に関しては認めら
れていない。
あとは他の物は、ナイフだろ
うとバイクだろうと、自分の
好き勝手にやってナイフ
を壊し、しがみつき硬直
載りでバイクで事故れば
いい。
そういうことにならないよう
に先人たちが気づいて確立さ
せた技法について説く事を否
定するのならば。
好きにやればいい。
しかし、ナイフを適正に使い
たいのであるならば、マイク
ロベベルが付けられたナイフ
は、マイクロベベルを除去する
な。
なぜ、初期出荷でメーカーが
わざわざ手間隙かかる工程
を加えてマイクロベベルを
付けているのか。
その意味を考察することもな
く、ただやみくもにマイクロ
ベベルは悪い物で除去すれば
良くなる、などという短絡的
な思考でナイフを壊すことの
行為が何なのかを自戒的に考
えよ。
思考停止の硬直石頭は死を招く。
これは刃物でも、乗り物でも。
物事の意味を深く冷静に考え
てほしい。
とりわけ「得物」はそう。