今日のうた

思いつくままに書いています

「天才でごめんなさい」

2013-04-02 23:34:11 | ⑤エッセーと物語
人間が作品となるかなしみよ会田誠の肩のふるえは


昨年から観たいと思っていた会田誠の「天才でごめんなさい」が、
体調が戻るのを待っていたら、残り数日となっていた。
あわてて六本木にある森美術館に出かけた。

美術館に行くのは数年ぶりである。
なんだろう、この居心地のよさは。

これでもかというくらい煩雑で残酷な作品にあっても、
清浄で品のあるやさしさ、のびやかさを感じる。
これは少女を描く時に際立つ。
彼のやわらかい筆致や心根、そして男性ということにも拠るのだろうか。

戦争画 RETURNSと呼ばれる 「紐育空爆之図(にゅうようくくうばくのず)」、
パルテノン神殿の上に原爆ドームを配した「題知らず」、
そして「たまゆら」の絵を前に、不覚にも涙が出た。

以前から会田はオサマ・ビンラディンに似ていると思っていたが、
ビデオには日本語を話す、まさにオサマ・ビンラディンが居た。

彼は自分の肉体を作品にしている。会田の容姿はそれに堪え得るものだ。
私が詠んだのは、そのビデオ作品の一つである。

あれから一週間が経っても、作品が私の中から消えない。
まるで彼の体液を飲み込んでしまったように、日に日に沁みてくる。
それは清々しい感触だ。




(画像はお借りしました)


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