今日のうた

思いつくままに書いています

ウルジマラ(泣くな!) (1)

2018-09-04 06:04:19 | ③好きな歌と句と詩とことばと
俳句ブームとやらで、図書館には俳句コーナーが設けられていた。
その中で一際目を引いた表紙が、姜琪東(カン・キドン)の句集
『ウラジマラ(泣くな!)』だ。
姜さんは、1937年に高知県で生まれた。その後も日本で育ち、日本人と結婚し、
日本人として生活している。
ハングルも話せないし、韓国には旅行でしか行ったことがない。
それなのに、在日コリアンとして差別を受けながら暮らしている。
あとがきの一部を引用させて頂きます。

「結局、これが在日のおかれている現実なのだ。【在日】という言葉が存在する限り、
 在日コリアンがこころから笑い合える日は永遠に来ないのだ。
 ――いまはそんな心境である。

 『ウルジマラ』とは『泣くな』という韓国語である。朝鮮民族は悲しいとき辛いとき
 拳(こぶし)で大地を叩いて『哀号(アイゴー)』と哭(な)く。
 声を上げて泣くことが悲しみをやわらげる唯一の手段であることを長い歴史の間で
 身につけてきたのだ。差別の壁のなかで彷徨(さまよ)う在日コリアンは、
 これからも『アイゴー』と嘆き『ウルジマヨ』と慰め、唇を噛んで生きていくしかないのだ。
 2006年2月7日」 (引用ここまで)

私は歴史をよくは知らないが、稲作や仏教は朝鮮半島からもたらされたのではなかったか。
日韓併合で韓国を植民地にし、名前や言葉を奪ったのは他ならぬ日本ではなかったか。
産まれた時から持っている名前や言葉を奪われることが、どんなに哀しく、
どんなに屈辱だったかは、普通の想像力があれば解るはずだ。
また、多くのコリアンを強制連行して、炭鉱などで働かせたのは日本人ではなかったか。
日本兵とともに太平洋戦争で戦わせ、負傷しても戦後何の補償もしなかったのは
日本政府ではなかったか。

ネットでは誰それは在日だと、まるで鬼の首を取ったように書く人がいる。
これでは魔女狩りと同じではないか。
お互いに、まずは知ることから始めよう!
次の小池都知事の行為は、公人として赦せないものがある。
偏見に捉われず、まずは学ぶことから始めたらいかがですか。
               ↓
①「小池氏、虐殺にあいまい発言 朝鮮人犠牲者への追悼文見送り
  8月31日 朝日新聞デジタル」

https://digital.asahi.com/articles/DA3S13658194.html?_requesturl=articles%2FDA3S13658194.html&rm=150

①-2「関東大震災“朝鮮人虐殺”を黒澤明、丸山眞男、志賀直哉らも証言!
   小池百合子はこの紛れもない史実を今年も封殺

    9月1日 LITERA」

http://lite-ra.com/2018/09/post-4221.html


※心に残った句を引用させて頂きます。

(1)  高知にて 二句
   ふるさとは蕗(ふき)の薹(たう)ほどほろにがし

(2)生国(しやうこく)にして他国なり葱坊主(ねぎばうず)

(3)チマの裾触(ふ)れてこぼるる雪やなぎ

(4)  妻は日本人
   味付(あぢつけ)の和風韓国芹(せり)料理

(5)  退職
   職を捨て通名(つうめい)を捨て青き踏む

   ※通名 1939年、日本が植民地支配のため創氏改名を公布。
       朝鮮固有の姓を奪い日本式改名を強要した。
       45年8月の解放後も民族差別等のため今もまだ創氏改名を通名として
       使っている在日コリアンは90%を超える。

(6)春の雪李朝(りてう)箪笥(たんす)のにほひけり

(7)梅漬ける生れたときから在日で

   ※韓国人は梅干を食する風習は無い。せいぜい漢方薬として利用する程度である。

(8)洗濯のオモニに蹤(つ)きて夏川へ

   ※オモニ 母親

(9)初めて聴く祖国の国歌蟻走る

(10)  少年の日
   瘠せつぽの朝鮮瓜(うり)と呼ばれけり

(11)  回想
   貧しくて兄弟(ヒョンジェ)仲よき水遊(みづあそ)び

(12)老爺(ハラポジ)の沖見て涼む長煙管(キセル)

(13)祭笛デラシネわれの独(ひと)り酒
    
    ※テラシネ 故郷喪失者。「根なし草」の意のフランス語。

(14)オモニ逝(ゆ)き真ッ赤に熟(う)るる唐辛子(たうがらし)

(15)玄海を見おろす丘や墓洗ふ

(16)ちちははの出自(しゆつじ)は知らず墓洗ふ

(17)銀漢(ぎんかん)のなだるる真下わが母国

(18)月仰ぐ母国に親旧(チング)あらざりき

    ※チング 友だち

(19)  朝鮮が日本帝国主義の植民地であった時代、朝鮮半島の地図は
      日本列島と同じく赤い色で塗られていた。 二句
    半島地図真ッ赤に塗(ぬ)られ唐辛子(たうがらし)

(20)血の色の半島地図や秋の風            2につづく
               


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